多子世帯への大学無償化制度ってどんな制度?
2025年度(令和7年度)から、子どもが3人以上いる世帯を対象に、大学、短期大学、高等専門学校、専門学校などの授業料が無償化される制度が始まり、2026年度(令和8年度)も実施されています。
「高等教育の修学支援新制度」の一環
「高等教育の修学支援新制度」は、意欲ある学生の皆さんが経済的な理由で進学を諦めないよう、2020年4月にスタートした国の支援制度です。
大学や専門学校などへの進学を希望する方が、一定の学力基準を満たせば、授業料や入学金が免除・減額されたり、返済不要の「給付奨学金」を受け取ることができたりします。
日本学生支援機構(JASSO)が提供する給付奨学金のほか、各大学が独自に設けている奨学金制度もあります。これらを活用することで、経済的な不安を減らし、安心して学びに集中できるようになります。
多子世帯への大学無償化制度の対象条件
この制度を利用するための主な条件は以下の通りです。
扶養する子どもが3人以上の世帯
年齢制限はありません。 高校生、専門学生、短大生、大学生など、ご家族に税法上の扶養親族として数えられる子どもが3人以上いれば対象です。
ただし、第一子が就職するなどして扶養親族から外れ、扶養する子どもが3人未満になった場合は、支援の対象外となりますので注意が必要です。
要件を満たした学校
大学、短期大学、高等専門学校(4年・5年)、専門学校などが対象となります。
修学支援新制度の支援の対象となる学校は、令和8年現在で、大学・短期大学では95.6%、高等専門学校では98.3%、専門学校では79.6%です。
対象校は文部科学省のウェブサイトから調べることができますので、確認してみてください。
入学金・授業料の支援金額(返還不要)
以下の額の入学金・授業料が支援(返還不要)されます(各学校の授業料等が減額されるものであり、直接、学生本人に現金が支給されるものではありません)。
| 国公立 | 私立 | |||
|---|---|---|---|---|
| 入学金 | 授業料 | 入学金 | 授業料 | |
| 大学 | 28万円 | 54万円 | 26万円 | 70万円 |
| 短期大学 | 17万円 | 39万円 | 25万円 | 62万円 |
| 高等専門学校 | 8万円 | 23万円 | 13万円 | 70万円 |
| 専門学校 | 7万円 | 17万円 | 16万円 | 59万円 |
出典:文部科学省「高等教育の修学支援新制度について」
また、 「高等教育の修学支援新制度」では、授業料等の減免に加え、給付奨学金も支給されます。多子世帯への支援は所得制限がありませんが、世帯の資産額によっては、給付奨学金の支給額が0円となる場合がありますので、注意が必要です。
特に知っておきたい注意点
この制度を最大限に活用するために、以下の点に特に注意しましょう。
扶養人数のカウント
この制度は、3人以上の子どもを同時に扶養している期間のみ適用されます。
例えば、3人兄弟のうち一番上の子どもが大学を卒業して扶養から外れると、たとえ他の兄弟がまだ在学中であっても、支援を受けられなくなる可能性があります。
「子ども」の数のカウント方法や、住民税確定後に生まれた子どもを加算できるケースなど、詳細は日本学生支援機構のウェブサイトで確認できます。
学業条件の継続
制度採用後も、学修意欲と成果が毎年確認されます。 出席率や成績が基準を下回ると、支援が中断される場合があります。
アルバイトの注意点
支援対象の学生がアルバイトをすることは可能ですが、一定の収入を超えると税法上の扶養から外れることになります。その場合、扶養する子どもの数が3人未満になり、支援対象外となる可能性があるので注意が必要です。学業との両立も大切にしましょう。
大学院生について
大学院生は基本的に、「高等教育の修学支援新制度」の直接の対象外です。
ただし、大学院生も扶養する子どもの数に含めることは可能です。例えば、第一子が大学院に進学して引き続き扶養されている場合、扶養する子どもの数が3人以上であれば、第二子以下は支援対象となります。
なお、その大学院生が就職するなどして扶養から外れると、他の兄弟が支援を受けられなくなる可能性があるので注意しましょう。
海外留学について
支援対象の子どもが海外の大学等へ留学する場合、その授業料等は減免の対象にはなりません。
しかし、海外留学中でも扶養している場合は、「扶養する子ども」として数えられるため、他の兄弟が支援を受けることは可能です。
正規の修業年限で卒業できない場合
原則として、決められた修業年限で卒業(または修了)できないことが確定した場合、支援は打ち切られます。
ただし、学校から正式に認められた休学や、災害・傷病などやむを得ない事由がある場合は、正規の修業年限分については支援を受けられることがあります。
申し込み方法
現行の修学支援新制度には「予約採用(高校3年生での申し込み)」と「在学採用(大学等進学後の申し込み)」の2種類があります。
多子世帯の授業料等無償化を受けるための申込みは、2025年度(令和7年度)は在学採用のみが対象でしたが、2026年度(令和8年度)からは進学前の予約採用でもできるようになりました。
2026年度の支援を受けたい場合は、高校在学中に予約採用の手続きを行うか、大学等に入学後に在学採用の手続きを行うことができます。
在学採用の場合は、子どもが大学等に入学後、学校の学生窓口(奨学金担当窓口)で申し込み書類を受け取り、学校を通じて日本学生支援機構へ申し込みます。
申し込み時の注意点
高校生
高校在学中の場合は、基本的に高校3年生になってから予約申請をすることができます。その際、評定の5段階評価のうち3.5以上を取得していなければ、給付対象者になることはできません。
また、日本学生支援機構への申請は、通常、高校を通じて行われます。そのため、高校ごとに申請の締め切り時期や提出書類の準備期間は異なります。具体的な申請時期や、どの学期までの評定が対象になるかについては、必ず在籍している高校の奨学金担当の先生に確認しましょう。
大学生
大学1年次に申請する場合は、高校等における評定平均が3.5以上であること、または入学者選抜試験の成績が入学者の上位2分の1の範囲に属することが必要です。
また、2年次以降は内容が変わり、GPA(平均成績)等が在学する学部等における上位2分の1の範囲に属すること、修得した単位数が標準単位数以上であり、かつ将来、社会で自立し、活躍する目標を持って学修する意欲を有していることが、学修計画書により確認できることが要件となります。
これらの評価は日本学生支援機構への申請前に大学側が行うので、基準を満たさない場合、給付が受けられない、または支援が打ち切られる等の可能性があるので注意しましょう。
もし、給付が受けられなくなってしまった場合は、具体的に何が原因で「不可」になったのかを、大学の担当部署(教務課や奨学金担当窓口)に相談し、指導教員から直接フィードバックを受けることが重要です。
まとめ
多子世帯への大学無償化制度は、条件を満たすご家庭にとって、大学進学における経済的負担を大きく軽減できる制度です。これまで経済的な理由で進学を諦めていた子どもたちも、この制度を活用することで、新たな可能性を見いだすことができるでしょう。
制度を最大限に活用するためには、扶養する子どもの人数や学業条件、所得(扶養範囲)などの要件をしっかりと確認し、計画的に利用していくことが重要です。


