2026年度大学入試が厳しかった理由は大きく分けて4点あります。

  1. 受験生数の増加
  2. 年内入試の増加
  3. 大学入学共通テストの難化による玉突き現象
  4. 大学の収容定員厳格化による合格者数の絞り込み

 順にみていきましょう。

①受験生数の増加

 全体的な傾向としては、日本の18歳人口は減少傾向にありますが、2026年度の18歳人口は1,092,664人(厚生労働省 2026年6月3日 2025年人口動態統計月報年計(概数)より)と対前年度で微増でした。また、2026年度実施の大学入学共通テストでも既卒の出願者数が前年度より6,336人増加し、大学受験生が、近年ではピークの年だったのです

【図1】大学進学者数等の将来推計について

【図1】大学進学者数等の将来推計について
※出典:文部科学省「急速な少子化が進行する中での将来社会を見据えた高等教育の在り方について

 なお、【図1】の通り、18歳人口は2034年度までは、微減傾向のまま100万人台を維持しますが、2035年度以降は100万人を割り込み、以後急減し、2044年には70万人台となります。

②年内入試の増加

 次に、近年増加傾向にある学校推薦型選抜や総合型選抜の人気拡大です。私立大の学校推薦型(指定校制を含む)と総合型についての、旺文社集計データ(116校:志願者数=約37万5千人)では、前年比で「志願者12%増、合格者3%増」、倍率は2.4倍→2.6倍とアップしました。首都圏では、出願数が昨年対比130%、合格数が昨年対比106%、京阪神でも出願数が同112%、合格数が104%となり、大幅な倍率アップとなりました。(旺文社教育情報センター 2026年度 学校推薦型・総合型選抜結果レポート【2026年4月】)。

 これは、「早く合格を確保しておきたい」というマインドの受験生・保護者の増加と「早く入学者を確保したい」という大学側の思惑が一致し、大学側は「専願→併願可」への変更、複数方式の同時併願制度(受験料の割引制度導入も含む)の導入や、首都圏でも「基礎学力検査」に重きを置く選抜を実施するなど、受験生にとって「受験しやすい」(大学側にとって「受験してもらいやすい」)施策を打ってきたことが主な原因です

 しかし、倍率がアップしたことにより、不合格者数も増加し、学校推薦型選抜や総合型選抜で合格を確保できなかった受験生の多くは、年明けの一般選抜にまわることになりました

③大学入学共通テストの難化による玉突き現象

 年が明けて、2026年1月17~18日に確定志願者数が前年より1,066人増加の496,237人を集めて共通テストが実施されましたが、文系・理系とも前年の予想平均点を下回る結果となりましたデータネット実行委員会 駿台予備学校/ベネッセコーポレーション)。これにより、共通テストで思うような得点ができなかった上位層が、確実に合格校を確保しようとする「安全志向」から、志望校をランクダウンさせて中堅私立大学へも出願する動きが生じました。

 この結果、本来であれば合格圏内であった中堅大学受験生が、上から流れてきた上位層に押し出される形で不合格となる「玉突き現象」が生じ、中堅私立大学の倍率も例年以上に跳ね上がる事態となりました。そして中堅大学志望者も「安全校」確保のため、地元私立大学への出願を行うことになり、私立大学の出願者数は昨年対比119%と膨れ上がりました。同調査による一般選抜の募集定員は昨年対比97%でしたので、減少した合格の椅子を増加した受験生の間で奪い合うという現象が生じたのです。

④大学の収容定員厳格化による合格者数の絞り込み

 筆者の分析では、この大学の収容定員厳格化による合格者数の絞り込みが、最大の理由ではないかとみています。

「収容定員充足率」とは、大学や学部の定員に対して実際に在籍している学生数の割合を示す指標です。文部科学省は、2023年度から私大への補助金の不交付基準を、入学定員超過率から収容定員超過率に改めました。大学の規模によりますが、この率が一定限度を超えると、補助金の一部が減額または不交付となります。(文部科学省「令和5年度以降の定員管理に係る私立大学等経常費補助金の取扱いについて(通知)」)。

 大学側にとっては増加した志願者から合格者を多く出し、学生を一人でも多く確保したいところですが、このルールにより、入学者数の調整をしなければならなくなりました

【表2】収容定員8000人以上の大学の補助金額増減率

【表2】収容定員8000人以上の大学の補助金額増減率
※文部科学省「令和5年度以降の定員管理に係る私立大学等経常費補助金の取扱いについて(通知)」をもとに東京個別指導学院が作成(医歯学部を除く学部等のものである)。

【表3】は、主な私立大学の2025年度の収容定員充足率です。同表の通り、2026年度入試は、多くの大学にとって入学者数を絞り込まなければならない状況だったのです。

【表3】主な私立大学の2025年度収容定員充足率

【表3】主な私立大学の2025年度収容定員充足率
※日本私立学校振興・共済事業団「大学ポートレート」をもとに東京個別指導学院が作成。

 このような合格者の絞り込みは、京阪神でも同様の傾向がみられました。関西大学でも、合格者の絞り込みが行われましたが、絞り込まれた合格者の手続き率が上がったためか、繰り上げ合格者数は極端に絞り込まれました。

【図4】関西大学繰り上げ合格者数の推移

【図4】関西大学繰り上げ合格者数の推移
※関西大学2021年度2022年度2023年度2024年度2025年度2026年度入学試験 合格者状況について(お知らせ)をもとに東京個別指導学院が作成。

 また、関西学院大学では、2022年度入試では3回~4回受験すれば58.0%~58.8%の受験生が1回は合格ができました(関西学院大学HPより。ここでは何回受験しても合格を1回でも勝ち取れば合格者と数え、その割合を「合格者率」と便宜上呼びます)が、2026年度入試においては、3~4回の受験の場合、合格者率が、51.3%、51.5%と低下し、5回受験しても54.4%の合格者率にとどまりました。2022年度では3~4回受験すれば1回は合格できたが、2026年度では5回受験しても合格を1回も勝ち取れなかった受験生が増えたということを意味します(2026年6月14日実施関西学院大学入試説明会より)。

 そして【図5】のように、同志社大学の2026年度一般選抜でも、4~5回受験した受験生のうち、合格が1回にとどまった受験生が6人に1人程度いました。複数回受験して合格の機会を増やすことで、ようやく1回の合格を勝ち取った受験生も少なくなかったことがわかります。

【図5】同志社大学の受験回数別合格回数構成比

【図5】同志社大学の受験回数別合格回数構成比
※同志社大学「2026年度入学試験のまとめ」をもとに東京個別指導学院が作成。

【図6】は、2022年度一般選抜での志願者数・合格者数(ともにのべ数)を100%とした場合の、志願者数・合格者数の推移です。2026年度入試で起きた志願者数増・合格者数減少傾向は2025年度から生じはじめ、2026年度入試で一気に顕在化したことがわかります

 また、入試難易度別のいわゆる大学群別に青線(志願数)と赤線(合格数)に注目していくと、受験難易度の高い大学よりも難易度が下がっていくにしたがって、大きく波及していることがわかります。前項で触れた「玉突き」現象が、ここでも生じていることがわかります。

【図6】2022年度一般選抜での志願者数・合格者数を100%とした場合の推移

【図6】2022年度一般選抜での志願者数・合格者数を100%とした場合の推移_1

【図6】2022年度一般選抜での志願者数・合格者数を100%とした場合の推移_2

【図6】2022年度一般選抜での志願者数・合格者数を100%とした場合の推移_3

【図6】2022年度一般選抜での志願者数・合格者数を100%とした場合の推移_4
※河合塾「私立大 大学別入試結果」(2024年)7/31現在(2026年)7/3現在をもとに東京個別指導学院が作成。

 今回提示している大学群以外のいわゆる「地元私立大学」では、年内の学校推薦型選抜・総合型選抜での学生募集がメインになっている大学が少なくありません。中には、専願(合格すれば必ず入学する)の総合型選抜や指定校推薦で募集人員をはるかに超える合格者を出している大学(大正大学「2026年度 過去の入試結果」より)もあり、そのような大学の場合は、全体の収容定員を超過しないように一般選抜での合格者を更に絞らざるを得ませんでした

 このような事象が重なり合い、2026年度私立大学入試は「滑り止め」のはずが、「滑り止まらず」、予期せぬ不合格となったり、予定外の大学に入学することになったり、受験校全てが残念な結果に終わったりした受験生が増えたと考えられます。2026年度入試では、これまで入学定員割れしていた大学に入学した受験生が増えた可能性があります。

 収容定員厳格化による「玉突き」は、2025年度入試から一部で始まっており、入学定員割れした私立大学数の割合は、2024年度の59.2%から2026年度は53.2%、2026年度は46.2 %へと急速に改善されました(日本私立学校振興・共済事業団 令和7(2025)年度 /令和8(2026)年度私立大学・短期大学等 入学志願動向)。これまで定員割れしていた大学にも入学者が「玉突き」で流れ込み、定員割れ大学が減少したとみる根拠はここにあります。

 しかし、長期的にみると、2035年度以降は18歳人口急減の波が押し寄せてくるので、現在起きているような「玉突き」現象は、それまでの事象ではないかと考えられます。

2027年度入試に向けて

 では、2027年度入試はどうなるのでしょう。筆者の分析では、①の受験生数はほぼ横ばいですし、②の年内入試志向のトレンドは変わらないどころか強まる可能性があります。③の大学入学共通テストの難易度は10点以上平均点がダウンした国語、物理、情報については調整があるかもしれませんが、合計の平均点は実施してみないとわかりません。④の収容定員厳格化による合格者数の絞り込みは、各大学・学部ごとに事情が異なり、2027年度の合格者数は読めません

 例えば、中央大学は2025年度入試で合格者数の大幅な絞り込みを行いましたが、法政大学は2026年度に行いました。【表3】で中央大学が102%となっているのは、2025年度入試での大幅な合格者数絞り込みの結果でしょう。

【図7】2022年度一般選抜での志願者数・合格者数を100%とした場合の推移

【図7】2022年度一般選抜での志願者数・合格者数を100%とした場合の推移_1
※河合塾「私立大 大学別入試結果」(2024年)7/31現在と(2026年)7/3現在をもとに東京個別指導学院が作成。
※河合塾「私立大 大学別入試結果」(2024年)7/31現在(2026年)7/3現在をもとに東京個別指導学院が作成。

 2026年度入試結果をもとに、2027年度入試に向けた各種模擬試験が始まっています。各業者とも2026年度入試結果を踏まえて、合格可能性判定基準偏差値を出していますが、模試では、志望者の増減動向はわかっても、各大学・学部が合格者数を増やす方針なのか、更に絞る方針なのかまでは、読み取ることができません。

 各大学の入学者数が確定して、収容定員充足率が判明すれば、2027年度入試で合格者が増える可能性がある大学や減らしそうな大学を予想する手がかりになるでしょう。しかし、それも、あくまでも予想です。大規模大学の収容定員超過率に対するペナルティが発生しない程度まで、超過率が落ち着くまでの当分の間は、(各大学により異なりますが、全体的にみると)2026年度入試と同じ「玉突き現象」が続くのではないかと個人的には予想しています。
 
 受験生やその保護者にとっては、大変な入試環境ですが、今からやれることもあります。

  • 実質倍率の上下だけではなく、大学HPや「大学ポートレート」(日本私立学校振興・共済事業団)で収容定員充足率にも注目しておく
  • 大学説明会等で個人相談を申し込み、合格者数の絞り込みに関する質問をしてみる(回答いただけない場合もあります。また、全体説明会で情報提供される場合もあります。)
  • 「年内入試」についても、「年明け一般選抜」についても、受験機会を増やして、合格する可能性を上げる(【図5】のように、受験機会が多いほうが、合格する可能性が上がるためです。)
  • 念には念を入れて「安全校」受験を複数回組み込む(前述したように「玉突き現象」で「滑り止め」と目論んでいた大学で「滑り止まらない」事態は今後もしばらくは続きそうだからです。)

 受験は、当初見込んでいた計画通りに結果が出るケースの方が少ないように思います。不測の事態が生じて動揺してしまったり、打開策を練ったりするのに時間をかけていては、入試直前の追い込み学習に影響します。まだ、精神的にも時間的にも余裕のある、今のうちから、プランB、さらにはプランC、プランDまでを用意しておくことをお勧めします

 現在受験学年である、主に高校3年生に対しては、在籍する高校等から出願指導やアドバイスが行われるかと思いますが、塾や予備校等に通っている受験生は、塾や予備校の先生の見解やアドバイスにも耳を傾けて、別の視点からも出願、受験校検討を行うと良いでしょう