まず最初に武田さんは、自身の経験から入試形式別に「勉強ができる順位」を整理します。1位は一般組、2位は内部進学上位組、3位は推薦組、4位は内部進学下位組ということです。内部進学下位組であった武田さんは、大学入学後にかなりきつい絶望をしたそうです。
一般組に比べ基礎学力が圧倒的に不足している
絶望する理由の1つ目として武田さんが挙げるのは、基礎学力の圧倒的な不足です。これにより、1年前期の時点で一般組とはかなり格差がついてしまう、とのこと。大学1年では、微分積分や線形代数、力学などを学びます。高校数学では公式を使う計算で対応できた場面でも、大学では「なぜそうなるのか」という定義や証明まで踏み込んで扱います。
たとえば、微分積分では、数Ⅲの極限や微積分を完璧に理解していることを前提に授業が進む、と武田さんは説明。線形代数では、高校数学からさらに抽象度が上がり、より高い次元を扱います。力学についても、高校物理の公式をすべて微分方程式に書き換えるようになるため、数学でつまずくと解けない内容です。
さらに、1年生で学ぶ内容は、その後の熱力学や流体力学、量子力学などにもつながっていきます。したがって、初期の段階の差は、その後の授業でもっと広がる可能性があるのです。
低負荷の高校時代を過ごして勉強体力がない
武田さんが挙げる2つ目の理由は、勉強体力です。一般組が毎日長時間の勉強をこなしてほぼブランクのないまま入学するのに対し、推薦・内部進学組は、長時間・高負荷の勉強を経験しないまま、大学に入ります。特に、内部進学組の場合、高校では基本的に定期テスト中心の勉強で、留年さえしなければ進学できるという環境です。
しかし、理系学部へ入ると実験やレポート、演習、試験が次々と待っています。武田さんは、毎週約5〜10枚以上の実験レポートを作成することがあり、実験自体も朝から夜まで続く場合があった、と経験を紹介。さらに、数学や物理では、講義で習った内容より難しい問題を、その日の演習で解かなければならないこともあったそうです。
定期試験も約1〜2週間の間に複数科目が集中し、1科目の負担も大きいため、高校時代のような試験直前だけ勉強する方法は通用しにくい、と武田さんは語ります。勉強体力のある一般組の学生は、受験期のような勉強でなんとか乗り越えていく一方、推薦・内部進学組は「何から手をつければいいのか」という段階から苦労する状態だった、ということです。
学部の内容が自分のやりたかったことと違う
3つ目は、自分のやりたかったことと違うというケースです。一般入試で進学する学生の多くは、カリキュラムや研究室まで調べたうえで大学を選び、入学します。一方、推薦・内部進学では「就職に強そうだから」「数学が得意だから」「内部進学で行けるから」といった安易な理由で学部を選ぶケースもあります。
そういった場合、入学後の勉強量の多さや授業のレベルの高さを乗り越えられずに絶望することがあるそうです。結果として、留年や退学につながることもある、と武田さんはいいます。
入学後の絶望を避けるための5つの対策法
次に、入学後の絶望を避けるための対策法を5つ、小林さんと武田さんは紹介します。
まず1つ目は、合格が決まっても勉強をやめないこと。英語や数学など大学でも使う科目について、小林さんは勉強の継続を勧めています。2つ目は、学部・学科選びを慎重に行うことです。大学のホームページだけでなく、シラバスやオープンキャンパスなどを利用し、情報を集めてほしい、と小林さんは話します。
3つ目は同じ学科の友人を作ること。分からない問題を相談したり、勉強方法について情報交換したりできるためです。さらに武田さんは4つ目として、先輩とのつながりも大切だとしています。試験の傾向や過去問、研究室や教授についての情報を得られることがあるためです。
5つ目の対策法として武田さんは、教員免許を無理に取ろうとしないことだと伝えます。軽い気持ちで手を出すと本来の理系科目の課題もおろそかになり、留年にもなりかねません。大学1年前期の忙しさを経験してから判断しても遅くない、とアドバイスしています。
まとめ
今回は、推薦・内部進学で難関大学の理系学部に入った場合に絶望する理由を紹介しました。ただ、推薦入試や内部進学そのものを否定しているわけではなく、よく考えたうえで覚悟を持って進路を選んでほしい、という意味で警鐘を鳴らしています。(次ページに解説動画あり)
