小塩明伸校長
上野学園は創立120年を超える伝統校。1949年、高校に全国初の音楽科を設置したことでも有名だ。現在高校普通科には、難関大進学を視野に入れた特別進学コースもあり、音楽はもとより多様な進路を目指せる学びやとなっている。
そんな上野学園が目下、中高全体で力を入れているのが生徒の“人間力”を伸ばすこと。基礎学力の定着が大前提だが、実社会ではリーダーシップや協調性、コミュニケーション能力、自制心といった非認知能力の高さも重視される。学力+非認知能力に秀でた人間力の強い生徒を育てるため、小塩明伸校長は「教科の学びとさまざまな特別活動、さらに探究学習を組み合わせることで相乗効果を狙い、生徒たちの“総合知”の向上を目指したい」と、強い思いを語る。
教育活動のベースとして、同校が大切にしているのが“三つの「間」”だ。
「一つ目は『空間』。本校が位置する上野周辺は文化や芸術と縁の深いエリアで、この地の利を教育活動に生かしています。二つ目は『時間』。中高の6年間という貴重な時間で、知識の詰め込みに偏らない系統的な教育を実践していきます。三つ目は『仲間』。生徒同士や教員といった学校生活を共に過ごす仲間との関わりは何より重要。目の届く規模感なので、担任に限らず教員一同が連携して生徒を見守り、きめ細やかな指導を行っています」(小塩校長)
浅草や上野で行う
フィールドワーク
この三つの間を意識しながら、同校では恵まれた環境を活用し、多彩な特別活動を行っている。例えば、浅草で外国人観光客に英語でインタビューする「Trip to Asakusa」では、日頃の学びの成果を試すべく、生徒たちは皆で協力しながら、懸命に英語での意思疎通に挑戦する。
また、上野動物園や国立科学博物館で自然科学分野の研究を行う「サイエンスプログラム」、上野公園や台東区などの歴史や文化に触れる「ソーシャルプログラム」も、土地柄を生かした体験学習だ。
こうした校外での体験を通じていろいろな気付きを得ることが、生徒たちにとって重要だと小塩校長は言う。「その気付きが、本校の建学の精神である『自覚』を呼び起こし、自らの人としての価値や、可能性に気付くきっかけとなるからです」。
そうした教育活動の成果は、大学合格実績の伸びという形で表れつつある。「近年は東大や東京科学大などの国公立大や早慶上理、GMARCHなど難関私大の合格者が着実に増えています。それに伴って、中学の受験者層も少し変わってきた印象があります」(小塩校長)。他方で、音楽科だけでなく普通科からも藝大に進む生徒が出ているあたりは、情操教育として音楽を重視する同校ならではの特徴だろう。今後は、現カリキュラムをブラッシュアップし、さらに高次の学びへと結び付けることも構想しているという。伝統校ながら挑戦を恐れない上野学園の進化は続いていく。
