足立学園中学校・高等学校
瀬尾匡範(まさのり)校長

 1929年の創立以来「有為敢闘(ゆういかんとう)」、すなわち「世のため、人のために役立つ人材の育成」を掲げている足立学園。この精神を受け継ぐのが志を立てて生きる「志共育(こころざしきょういく)」だ。生徒たちはこの教育を通じて、志(ゆめ)を持ち、実現のために何をすべきかを考え、行動できる人材へと育っていく。

 着任して2年目の瀬尾匡範(まさのり)校長は、「志とは、単なる夢ではありません。自分がなりたいという個人的な願望に、人を幸せにするための要素を絡み込ませた、より強く揺るぎない目標です。例えば、医者になるというだけでなく、過去の経験から、こういう子たちを救ってあげたい、という強い思いを付け加えることによって、なりたいという思いが強くなる」と語る。

 この「志共育」は、進路選択にも直結する。

「高2が自分の志を発表する授業を見ましたが、将来自分はこういう人間になるのだという志を立て、それがかなえられる進路を選ぶのだという、本来の大学の選び方をしている様子に感動しました」(瀬尾校長)

 志共育を体現する探究学習にはさまざまなプログラムが用意されているが、その筆頭ともいえるのが「アフリカスタディーツアー」だ。今年で5年目となり、これまでに約40人がタンザニアを訪れた。

 参加した生徒たちは、発展しているエリアとそうでない所の大きなギャップを目の当たりにする。さらに、現地校訪問ではスワヒリ語や、たどたどしい英語でのコミュニケーションに挑む。お互いに話が通じない状況に置かれることで、言いたいことを伝えなければならないと必死になり、身ぶり手ぶりを駆使して伝えるという「自主性」と「積極性」を発揮する。

 帰国後、保護者からはポジティブな評価が目立つ。アンケートには「よく話をするようになりコミュニケーション力が上がった」「優しく、相手が分かるように話すようになった」といった声がある。また、「海外の出来事に興味を持つようになった」という意識の変化も見られるという。

アフリカでの体験が
社会に貢献する力に

 同ツアーで受けた刺激は、校外での自発的な行動にもつながっている。アフリカから帰国後、2人の生徒が、Yシャツを寄付する団体へ協力し、着古したYシャツを集めてタンザニアに贈るという行動に出た。後日現地から、感謝状が届いたという。

「学校側がお膳立てしたわけではなく、生徒が本人の意思でしたことです」(瀬尾校長)。「志共育」が単なる学校のプログラムとしてではなく、生徒の人生観と結び付き、「世のため、人のため」を体現する能動的な行動へと発展させた。

 卒業生は学校愛が強く、2代、3代の入学者もいる。「後輩を見ようと、入学式に来る卒業生がいます」と瀬尾校長は笑う。足立学園は、生徒が自らの志を貫き、社会に貢献する力を身に付けられる、温かく、力強い学びの場となっている。

アフリカスタディーツアーに参加した生徒たちが、帰国後に書いたレポートをまとめた冊子。年々充実し、厚さが増している
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