土と生命に触れる
実体験から始まる探究活動

 自律した学習者を育てるもう一つの試みが、探究学習における「土と生命(いのち)の学習」である。中1・2を対象とした千葉明徳オリジナルのプログラムで、農業体験を起点に、食文化や社会の仕組み、環境などへの関心を広げていく学びだ。学習の軸となるのは、校内の田んぼや畑で行う農作業である。実体験を基に、班ごとにテーマを設定して研究に取り組み、最終的には全員が発表会でプレゼンテーションに挑戦する。

「土と生命の学習」。田植えから手入れ、収穫まで、生徒自身が手を動かして体験する

「それまで土に触れる機会のなかった生徒も多いのですが、学習が始まると、誰もが興味を持って農作業に取り組みます。よく生徒たちに伝えているのは、“興味があるからやるのではなく、やるから興味が生まれる”ということです。この経験自体が、生徒にとって大きな学びになります。またこのプログラムでは、中1・2が合同でグループをつくって研究に取り組むため、教え合いが生まれる異学年交流の場ともなっています」(宮下校長)

 中3から高1にかけては「磨き課程」となり、学びはさらに高度化して、個人探究へと重心が移る。中3では「課題研究論文」に取り組み、1年間かけて自身の興味・関心に基づく研究テーマを深く掘り下げる。高1ではそれを「探究活動」としてさらに発展させる。この時期の学びを支えるのが、多様な分野を網羅した13の「ゼミ」である。生徒は希望するゼミに所属し、専門性の高い探究を進める。最終的には、ポスターやプレゼンテーション形式で探究の成果を発表する。

ハワイ大学の学生に、英語で探究の成果を発表する「ハワイ研修旅行」

 そして高2・3は「完成課程」。集大成として「ハワイ研修旅行」(全員参加)を実施し、それまでの探究活動の成果をハワイ大学の学生に英語で発表する。

「探究活動の成果を、大学の総合型選抜に生かすケースも増えています。九州大学法学部に進学した生徒は、校則問題をテーマに各校の規則の違いや社会的背景を調査して論文を作成。北海道大学水産学部に進学した生徒は、サメの歯の形状を電子顕微鏡で観察し、軟骨魚類の分類方法の再考を促す研究を行い、それぞれ合格を勝ち取りました。試行錯誤しながら研究テーマを定める過程は、将来の方向性を見いだすことにもつながります」と宮下校長。

ラーニング・コモンズとしての活用を考え、2025年に「明徳館」として大規模リニューアルされた図書館

 図書館の大規模リニューアルを実施し、図書館を「ラーニング・コモンズ」としての機能を備えた「明徳館」として再スタートさせた。

 また、授業時間をこれまでの50分から45分に短縮し、放課後の時間を拡充、より有効に時間を活用できる時間割へと改善した。

 千葉郊外の自然豊かなキャンパスは広大で、中学校では完全給食制を導入。生徒たちは恵まれた環境の中で、「自律した学習者」への道を力強く歩んでいる。

2025年度から始まった、希望者を対象にした海外ターム留学。写真は26年春のフィリピンでの様子
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