秋のE判定から第一志望に受かる例は少ない

E判定は合格可能性20%以下で、下限がない

 E判定が示す正確な意味を理解しているご家庭はほとんどいません。

 前提として、模試の判定は、偏差値2.5ごとに1段階変わります。

 たとえば、ボーダー偏差値(合格可能性50%の目安)が50.0の大学なら、判定ごとの偏差値の幅は次のとおりです。

 E判定には下限がありません。この例なら、偏差値47の人も、40の人も、同じE判定です。自分がどのあたりにいるかは、成績表に出ている志望校のボーダー偏差値と、自分の偏差値の差で確かめられます。

入試まで残り2〜3カ月しかない

 大学入学共通テストは、1月中旬です。11月に判定を受け取った時点で、残りは2カ月ほどしかありません。私立の一般入試でも、3カ月前後です。

 この期間で、下限のないE判定の位置からボーダーを超えなければなりません。そのため、秋のE判定から第一志望に逆転合格する例は、一般的にはほとんどないのが実情です。

 ただし、以下の条件を満たす生徒であれば、逆転合格は珍しくありません。

 ・私立大学を複数校受験できる
 ・D判定に近いE判定である

 それぞれ解説します。

私立を複数校受けられると、逆転のチャンスが増える

 私立が逆転合格に有利な理由は2つあります。

 1つは、2〜3科目で受けられる大学が多いことです。残りの時間を少ない科目に集中できるので、短い期間でも偏差値を上げやすくなります。

 もう1つは、何校も受けられることです。第一志望と同じくらいの難易度の大学を複数受ければ、そのうちどこか1校に受かる確率を上げられます。

 たとえば、C判定(合格可能性50%)の大学を3校受けるとします。3校とも落ちる確率は、0.5×0.5×0.5で12.5%。どこか1校に受かる確率は87.5%です。同じように計算すると、次のようになります。

 E判定のまま3校受けても、どこかに受かる確率は3割に届きません。ところが、C判定まで届いていれば9割近くになります。E判定からC判定まで届くかどうかを決めるのが、2つ目の条件です。

D判定に近いE判定なら、偏差値3〜4UPでC判定に届く

 最初に「逆転はほとんどない」と書いたのは、ボーダーから大きく離れた人も含めたE判定全体の話です。ボーダー偏差値50.0の大学の例なら、偏差値47前後のE判定の人は、偏差値を3〜4上げれば50.0に届き、C判定になります。

 残り3カ月で偏差値を3〜4上げるのは、決して不可能ではありません。特に私立は科目が少ないぶん偏差値を上げやすいので、D判定に近いE判定からの逆転合格は十分にあり得る話です。一方、国公立は共通テストの科目数が多く、偏差値を3〜4上げるのにも時間がかかります。国公立だけで受けるなら、同じE判定でも逆転の見込みは私立よりは低くなりやすいと考えてください。

E判定が出たときの受験校の組み方

浪人はありか、私立に進学してもいいかを先に決める

 では、どう受験校を組めばいいのか。E判定が出た生徒との面談で、私が最初に確認するのは、志望校のことではありません。次の3つの条件です。

 ・現役にこだわるのか、浪人してもいいのか
 ・国公立だけなのか、私立に進学してもいいのか
 ・一人暮らしをしてもいいのか、自宅から通える範囲なのか

 自宅から通える範囲に限ると、地理的に候補が絞られるので前提としてまず確認しています。その上で、残りの2つの条件によって、E判定の大学の扱いが次のように分かれます。

 いちばん厳しいのは、国公立だけで現役合格を目指す場合です。国公立では前期日程と後期日程の2回(一部の公立大学は中期日程も)しか受けられません。しかも後期日程は、一部の学部でしか実施しない大学も多く、実施していても倍率が高くなりがちです。何校も受けて確率を上げることができないので、C判定でも半分は落ちると考え、A判定が出ている大学を第一志望に決めてください。

 また、国公立を受けるなら、出願先の候補は秋のうちに決めておいてください。国公立では共通テストの自己採点を見てから出願先を決めますが、共通テストから出願の締め切りまでは2週間あまりしかありません。そこで初めて出願先を考え、出題傾向の違う大学に切り替えると、二次試験の対策が間に合いません。共通テストがうまくいった場合と、うまくいかなかった場合の両方について、前期日程と後期日程の候補を決めておきます。

 3つの条件のうち、私立への進学は学費の負担が大きく、ご家庭の事情で認められないことも多くあります。認めるかどうかで第一志望を残せるかが変わるので、親の側から学費を出せる範囲を先に伝えてください。ここが決まっていないと、戦略も確定できません。

挑戦校・実力相応校・安全校に分けて受ける

 私立を併願できるなら、第一志望が私立でも国公立でも、受験校は難易度で「挑戦校・実力相応校・安全校」の3つに分け、それぞれから受けるのが一般的な組み方です。私が運営する東大毎日塾では、次の校数をすすめています。

 この区分は、出願校を決める時点でいちばん新しい模試の判定をもとにします。私立の出願締め切りの多くは1月中旬から下旬なので、今の秋の判定で候補を挑戦校・実力相応校・安全校に分けておき、12月ごろの最後の模試で確かめるのが現実的です。判定はその時点の学力を表すもので、これからの伸びは含まれていません。だから安全校は今の判定でA判定の大学を選び、伸びを見込んでよいのは挑戦校だけにします。成績表の志望欄に書いていない大学の判定は、模試の会社のウェブサイトの判定システムなどで確かめられます。

 出願校を決める時点の判定がD判定に近いE判定なら、挑戦校を2〜3校に増やし、第一志望と同じくらいの難易度の大学を複数受ける価値があります。入試までの残りの期間でC判定まで届けば、そのどこかに受かる確率は9割近くになるからです。

 安全校で合格を確保できるからこそ、E判定の第一志望に向けた対策に時間を使えます。

 併願校は、実力相応校も安全校も、第一志望と科目・出題傾向が近い大学から選んでください。1校でも傾向の違う大学を選ぶと、その対策に時間を取られ、学習の効率が落ちます。国公立が第一志望なら、共通テストや二次試験で使う科目で受けられる私立を選びます。

私立の第一志望は、試験日の遅い方式で受ける

 私立でE判定の第一志望に挑戦するなら、配点や出題形式が自分に合う方式の中から、試験日がなるべく遅い個別試験を選んでください。そのぶん、準備できる期間が長くなります。

 私立大学の多くは、同じ学部でも入試の方式を複数用意していて、方式によって試験日が違います。たとえば明治大学の法学部は、次のとおりです。

 ・共通テスト利用:1月中旬の共通テストの点数で決まる
 ・全学部統一入試:2月上旬
 ・学部別入試:2月中旬

 同じ法学部でも、方式によって準備できる期間が1カ月近く変わります。第一志望の大学でも、試験日の遅い学部や方式がないか確かめてみてください。

E判定から逆転できる人、できない人の分かれ目

 まとめると、秋のE判定から逆転合格しやすいのは、私立に進学してもよく、偏差値を3〜4上げればC判定に届く、D判定に近いE判定の人です。

 一方、ボーダーから大きく離れたE判定の人や、国公立だけで現役合格を目指す人は、第一志望への逆転合格は厳しくなりやすいです。

 つまり、逆転できるかどうかは「E判定」という判定だけで決まるわけではありません。

 志望校のボーダー偏差値と自分の偏差値の差や、私立進学や浪人はOKかをまずは確認してみてください。

 その上で、以下のような出願戦略で逆転合格の可能性は上げることができます。

 ・複数校を組み合わせて全体としての合格可能性を上げる
 ・科目・出題傾向が近い大学を併願する
 ・試験日がなるべく遅い方式を選ぶ

 自分だけで考えて不安な場合は、こういった戦略から考えてくれる学習管理型のコーチング塾で受験のプロに相談してみるのもおすすめです。E判定からの逆転合格を心より応援しています!

参考資料:河合塾「合格可能性評価について(全統記述模試)」、明治大学「2027年度入試ガイド」