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出典:早稲田塾の公式サイト

総合型・学校推薦型選抜を経験した講師と探究学習を深める

 一般選抜と違い、総合型・学校推薦型選抜では探究学習をまとめた書類を提出したり、志望学部で学ぶ資質を問う論文試験を受けたり、法学部を受ける場合は法学についての理解度が問われたりする。

 授業の一つである「総合型・学校推薦型選抜(AO・推薦入試)特別指導<提出書類>」(対面・オンライン)では、提出書類の作成方法を学ぶ。書類を作るためには、まず探究学習を深めないといけない。

 総合型・学校推薦型選抜で重要になるのは、活動や探究活動を書類にまとめて提出することだ。「活動記録報告書」「自己推薦書」「志望理由書」「課題レポート」など提出書類の形式は多種多様だ。志望大学が受験生に求める能力や資質を理解し、自分の活動や探究学習をベースに提出書類を作り上げていくための授業である。

 探究学習はわかりやすくいうと、かつて保護者たちも経験した「自由研究」などの調べ学習を進化させたものだとイメージしてほしい。興味があることを研究し、新たなる問いを見つけて提示するものだ。

 たとえば、外国人労働者が日本で働くことの問題点を調査研究するとしよう。その場合、調べたことをもとに論理的に組み立てて、「こういった問題点がわかったが、それを解決するためにはどうすればいいのか」といった新たなる問いを具体的に提示していく。また、選択するテーマは自分の興味・趣味だけではなく、社会一般に開かれた内容でなければならない。

早稲田塾の教室の様子
早稲田塾の教室の様子 提供:早稲田塾

 この探究学習を深めていくのが早稲田塾の「メンタリングメソッド」である。社会人講師のほかに総合型・学校推薦型選抜で大学に進学した現役の大学生講師(担任助手)が生徒と対話し、探究のテーマを掘り下げていく。これをグループワークでおこなっていき、1グループは大学生講師が2人、生徒が6名ほどだ。

 たとえば、大学生講師が「その視点からアプローチしても進まないとわかったわけだけど、ではどういう視点を新たに提示できるのか」と問い、生徒がそれに答えていく。また、大学生講師の促しにより生徒自身の積極性が引き出され、生徒同士でも問いかけたり、回答したりする。

 この過程を通して生徒は思考を深め、発想をひねり出していく。グループ分けは、学習進行の度合いや志望大学などで効率よく学べるように調整されている。こういった対話を通して、生徒は自分の強みや可能性を見つけ、大学での学びや将来のビジョンにつなげることができる。

さまざまな分野の第一人者と交流し、キャリアを考える

 早稲田塾では探究学習を深めたり、広げたりする一環として「未来発見プログラム」を実施している。

 各分野の第一人者との交流を通して視野を広げたり、思考を深めたりし、進路を発見する手助けにする。対面とオンラインの講義、さまざまな場所に足を運んで、関係者にインタビューするフィールドワークに加え、議論を重ねて資料を作成し、グループディスカッション、プレゼンテーションなどを行う。

 これまで日テレのプロデューサーによるメディアリテラシー、政府機関やNGO職員などによる途上国開発援助レポート、大学教授による最先端科学などのプログラムが開催されている。

大学や小論文、英語資格に特化した授業も

 慶應義塾大学法学部のFIT入試対策に特化した「慶應義塾大学(法学部)FIT入試(A方式)二次試験対策講座」という授業も用意されている。

 慶應法学部のFIT入試(A方式)の二次試験では、論述力試験と口頭試問が行われる。論述試験では政治や歴史、社会情勢に関するきちんとした知識や論理的な文章を書く能力が求められるので、専門性を持った社会人講師や担任助手が対話を通じてそれらを鍛えていく。ほかにも「慶應義塾大学(法学部)FIT入試(B方式)二次試験対策講座」「慶應義塾大学(SFC)夏秋AO特別講座」「早稲田大学(国際教養学部)AO入試(Critical Writing)対策講座」などの講座がオンラインで行われる。

「オンラインは補助的なツールではなく、主軸にもなっています。地方在住の受験生も参加できます。早稲田塾は受験を団体戦だと捉えていて、同じ進路を希望する仲間がいることが大切だと思っています。オンラインで全国の仲間とともに学べることはとても効果的です」(早稲田塾 中川敏和執行役員)

論文系講座」では、各種推薦入試で求められる小論文の指導を受ける。たとえば、早稲田や上智などの難関私大や国公立大学で課せられる小論文では、難度が高い文章を読解する力や論理的に文章を構成し、表現する力が求められる。それに必要となる力を鍛えていく。生徒同士で添削しあうこともあり、皆で鍛え合う学びを進める。

英語系講座」では、TOEFL、IELTS、英検といった英語の資格の対策を行う。一般選抜でも英語の資格が必要なケースが増えてきているが、推薦入試ではより重視される傾向にある。資格の有無や試験のスコアを出願資格としたり、加点の対象としたりする。この英語系講座はすべてオンラインで行っている。

東進ハイスクールの講座も受講できる

 同じナガセグループである大手予備校・東進ハイスクールの講座もすべて受けることができ、基礎学力を高めることができる。

 一般選抜対策にもなるが、総合型・学校推薦型選抜でも基礎学力は必要である。共通テストや学力テストを課すところもあるし、小論文や提出書類を書くにも基礎学力は必要であろう。

「通期講座」では1年の内容を3ヶ月で学習することができる。「高速マスター基礎力養成講座」はAIがその生徒に必要な学習内容を絞り込み、効率よくオンラインで学べる。

総合型・学校推薦型選抜対策の指導を得意とするベテラン講師が多く在籍

 社員講師の多くはベテランで、長く総合型・学校推薦型選抜対策の指導をしており、経験値やスキルが高い。新人講師はまず先輩講師の授業のアシスタントとして参加し、そこで指導の仕方を学んでいく。また、総合型・学校推薦型選抜で大学に進学した大学生の担任助手が、「ファシリテーター(中立的な立場から発言をまとめ、より良い結論や立案を導く役割を担う人)」として授業に参加をする。

「総合型・学校推薦型選抜の指導は、ティーチングではなく対話がメインです。そのため、大学生講師たちには『教えすぎない』ようにすることを研修で伝えています」(早稲田塾 中川敏和執行役員)

 探究学習で「こういうふうにすればうまくいく」と講師はわかっていても、それを伝えてしまうと、生徒は思考停止に陥ってしまう。本人が「どうすればいいか」を発見し、探究学習を進めていかないと、面接で質問された時に「大人に教えてもらった通りにやってきただけ」が露呈してしまうことも多々ある。そのため、生徒から発想や考えを引き出すように対話をしていく。

発想し、思考を深めるためのプリントやテキストを用意

    一般選抜対策のように、知識を覚えたり、問題を解いたりといった内容では基本ないので、テキストはあくまでも生徒が発想したり、思考を深めたりするための手掛かりである。

 授業ごとに配られるプリントが中心だが、たとえばある授業では「探究活動1」のプリントが配られ、生徒が現在の探究活動について考えることを導く5つ質問が書かれ、それを手掛かりに自分の探究活動を書き出すワークを行っていく。

「論文系講座」の一つである「慶應義塾小論文」のテキストには「競争」「政治的会話」などといったテーマの文章が載っており、生徒はそれを読んで、問われたことに対して記述で解答していく。この作業を終えてから授業を受けることになる。また、過去問も掲載されているので、それを解くことで問題傾向を知ることもできる。

 ほかにも総合型選抜に向けて、やるべきことを生徒が管理するための冊子「WASEDAJUKUBOOK」も配られる。これに目を通すだけでも総合型選抜対策の流れが理解でき、使いやすいスケジュール管理ツールにもなっている。  

早稲田塾に向いている生徒と向いていない生徒

 一般選抜対策の授業では、講師が「これを覚えましょう」「これはこう解きましょう」とティーチングをしていく。ある意味、受け身の授業を受ける。

 しかし、総合型・学校推薦型選抜の授業では、本人の積極性が必要になる。塾が行うのはティーチングではなくメンタリング。あくまでも講師は、生徒がどう探究学習を進めていくかを導く立場だ。

 そのため、生徒が受験を「自分事」として捉え、自ら進んで勉強する意欲がないと選抜はクリアできない。早稲田塾は積極性があり、自主性がある生徒に向いている。そういった自主性がまだ持てていない生徒には合わない場合もあるだろう。

早稲田塾の基本データ

校舎数(大学受験)

12校

池袋校、大崎品川校、自由が丘校、新宿校、

四谷校、吉祥寺校、町田校、青葉台校、

藤沢校、横浜校、柏校、津田沼校

自習室の有無 あり
質問対応 あり