問題に自分で向き合う力をつける「予習主義」
四谷大塚のテキストは「予習シリーズ」。つまり、予習のためのテキストだ。説明が丁寧で、それを読めばつるかめ算や流水算などの各学習テーマを理解できるように作られている。
テキストを読み、例題を解いて、予習をしてから授業を受ける。予習の量はクラスによって違う。
「予習ナビ」という動画授業を日曜日に配信し、導入の15分を見ることで授業の予習ができるため、保護者が子供の横について予習をさせなくてもいい。
「予習することは、初めて見る問題に自分一人で向き合うことです。それは中学受験本番や中学入学後の学びでもプラスになります」(四谷大塚 小川智弘塾長)
復習・自習まで、塾の中で学習を完結
小学4年では授業が週に2日、週末に「週テスト」を受けるための通塾日がある。「週テスト」は一週間の内容が身についているかを確認するテストだ。
「週テスト」が終わるとすぐに、テストの正誤情報や問題の正答率や重要度をもとにその生徒が復習すべき課題をタブレットに提示する。
「復習ナビ」というツールでは、「週テスト」の解説動画を見ることができる。また、復習テストの問題を一問ずつやり直すこともでき、類題にも取り組め、マスターしているかを確認できる。こういった週テストの復習もタブレットを使用する。
週テストの日はテストを受けて、そのテストの復習までを校舎でする。通塾日数がやや多い分、校舎の中で学習を完結できるようになっている。
自習室や自習スペースもある。中野校舎ではスタッフがいるカウンターの横のスペースで生徒たちが並んで学習をしていた。
充実のデジタルツールで効率的な学習をサポート
東進ハイスクールを運営するナガセとの連携でデジタル教材が充実している。「予習ナビ」や「復習ナビ」などの動画教材は、東進ハイスクールの本格的なスタジオで授業を撮影している。東進ハイスクールはすべての授業を映像配信で行うため、撮影の技術を持つ。
「ただ問題の説明をするだけではなく、カメラの向こう側に生徒がいるのをイメージして、相手の反応があるような前提で授業を進めていくような形式になっています」(小川塾長)
また、知識や計算などの反復学習のためのデジタル学習ツール「高速基礎マスター」も導入。タブレットで身についていない知識や間違えた問題だけを繰り返し学習する。
近年の変化で特に大きいのが、AIを使った演習の導入だ。四谷大塚は、週テストや模試の学習データをもとに、生徒ごとの弱点を抽出し、重点的に取り組むべき単元を提示する仕組みを整えている。この仕組みは本人の感覚や講師の経験だけに頼らず、AIのアルゴリズムに基づいて分析し、課題を絞り込むことで、学習のムダを減らし、志望校合格に必要な分野へ集中しやすくなる。
6年生の「志望校別単元ジャンル演習」というAIツールでは、生徒の学習内容と各志望校の入試問題の学習データと志望校入試問題を合わせて分析し、志望校合格に向けて最適な問題を提供していく。
講師は結果より努力を褒める方針で指導
老舗塾なのでベテラン講師が多い印象だが、2008年から新卒採用をはじめ、全体に若返っている。今年の新卒採用は男女半々だ。
毎週、教務研修を実施。模範授業を行い、ロールプレイングで若手などのスキルを磨きたい講師が模擬授業をする。
生徒たちは小学生なので受験や勉強が「自分事になっていない」ケースも多々ある。そういった生徒のモチベーションを上げていくことができる講師を育てていく方針だ。
授業中、学習と関係ないことで私語をするといった「他の生徒に迷惑になること」をすれば叱るが、何度も学習した内容の問題が解けないなどの「できない」ことに対しては叱らない。結果ではなく、努力したことを褒める指導を講師たちは心がけるという。
切磋琢磨しやすい、少人数制の集団授業
授業はその日、学ぶ内容を説明し、実際に問題を解かせ、解説する。「問題が解けるところまで仕上げる」方針だ。予習を前提にしているため、授業の効率が良くなり宿題の量が膨大になることはない。
「楽しく厳しくをモットーにしています」(教育事業本部 鈴木俊朗本部長)
取材した授業では物理の「てこの原理」を爪切りで説明していた。生徒が授業と関係ないことで騒ぎ出すとしっかりと叱るため、学級崩壊が起きにくい。
クラスは20名の少人数制で授業をする。集団授業で生徒同士が切磋琢磨することでモチベーションを上げていくことを重視する。
テキストは丁寧な説明で中学受験に導く「予習シリーズ」
「予習シリーズ」は説明が丁寧なことで知られる。中学受験に必要な内容がすべて書かれている。そのため、授業で分からなかったことがあれば、テキストを読めばいい。
必須の副教材として、「計算」、「漢字とことば」、「演習問題集」がある。選択副教材として、難関校を目指す生徒のための「最難関問題集(算数・国語)」があり、最近、発行された基礎的な内容の「基礎トレーニング(算数)」がある。
学力にあった問題集で学習ができる。その他にも「星座早見ばん」「考える社会科地図」など様々な教材が用意されている。
中学受験業界最大級の豊富なデータを提供
首都圏の中学受験生のおよそ半分は「予習シリーズ」を使用し、四谷大塚のカリキュラムで学習している。多くの受験生が四谷大塚のテストを受けているから、自分がどの位置にいるかが把握しやすい。
私立中高一貫校の情報も豊富に持つ。私立中学の入試も一教科入試や英語入試などが増え多様化しているが、そういった入試情報も提供してくれる。
中学受験業界最大級の情報を得られるというメリットがある。
コミュニケーションを重視する面談・保護者会
生徒とは月に1回は10分ほどの面談をする。保護者との面談は学期ごと。保護者会を頻繁に行う。学習の進め方から、学校見学について、入試動向などの情報提供がされる。
保護者とのコミュニケーションの機会が多いのが特徴だ。
低学年向けのクラス「リトルスクール」
小学1年から小学3年までは「リトルスクール」という低学年向けクラスがある。中学受験の先取りをするのではなく、必要な基礎学力を身につけていく内容だ。小学1年と2年は国語と算数のみで週に1日。小学3年からは理科や社会も学んでいくため、週に2日になる。
四谷大塚に合う生徒、合わない生徒
「予習し、授業やテストを受け、復習をするという一週間のサイクルを通して、学力を伸ばし、学習習慣を身につけていく方針です」(小川塾長)
小学4年から週に3日の通塾となる。通塾日数が多いということは塾の校舎内での学習が増え、家庭での学習は軽くなる。一方、習い事と並行したいなどの理由で通塾日数が少ないことを望んでいる場合は合わないだろう。
四谷大塚の基本データ
| 校舎数 |
35教室(2026年6月5日時点) |
|---|---|
| 生徒数 | 非公表 |
|
授業料 (月額・税込) |
小学1年生:15,400円 |
| 自習室の有無 | 有・通塾日以外も利用可 |
| 質問対応 | 有・授業の前後で随時 |
| 授業の生徒数 | 最大20名程度 |
| 専任講師の比率 | 非公表 |
| 生徒の男女比 | ほぼ1:1 |

