英語外部検定試験利用入試とは

 英語外部検定試験(以下、外検)利用入試(以下、外検入試)とは、英検やTEAPなど、外部の検定試験の資格や成績を、受験の合否判定に用いる入試方法のことです。センター試験が廃止され、2021年1月から大学入試共通テストが実施されるようになり、英語では「聞く・読む・書く・話す」の4技能が重視されるようになりました。この4技能を測るために、外検が利用されています。

 旺文社教育情報センターによると、外検を利用した大学は462校で、国公私立大全体の60.6%となっています。2017年時点の337大学から120校近く増加しています。さらに増加する可能性が高く、注目を集めています。

※出典: 旺文社教育情報センター

英語外部検定試験利用入試の利用パターン

 外検入試には主に4つの利用パターンがあります。推薦入試で最も多いのが出願資格、一般入試で最も多いのが得点換算となっています。

出願資格

 1つ目は、出願資格として利用するパターンです。こちらは入試に出願する際に、外検の一定レベルの級やスコアが出願資格になっており、それがなければ出願できないというパターンです。入試当日は英語の試験が免除されたり、英語以外の科目で合否が判定されることがあります。

得点に換算

 2つ目は、外検の級やスコアを、共通テストや大学の個別試験の英語(外国語)試験に点数として換算するパターンです。外検の級やスコアを点数換算して、英語(外国語)試験の得点と比較し、点数の高いほうを採用するケースが多いようです。

得点に加点

 3つ目は、外検の級やスコアが、入試成績の得点に加算されるパターンです。こちらは級やスコアのレベルに応じて点数が加点されるので、高得点を狙うこともできますが、英語(外国語)試験の満点を超えて加算されることは一般的にありません。

判定で優遇・合否参考

 4つ目は、出願書類の評価や合否判定で、外検の級やスコアの保有者が優遇されるというパターンです。総合型や推薦型選抜で利用され、級やスコアの利用方法は大学・学部ごとに異なるので、入試要項をしっかりと確認するようにしましょう。

どの英語外部検定試験を受験するべき?

 どの外検を使用できるかは、大学や入試方式によって異なります。最も多く採用されているのは英検(実用英語技能検定)®です。旺文社教育情報センターによると、2024年の入試では、一般選抜の英検採用率が98%、総合型選抜・学校推薦型選抜では99%と、最も高い採用率となっています。

※出典: 旺文社教育情報センター

 ただし、英検を採用していない選抜入試もあるため注意が必要です。例えば、上智大学では「TEAPスコア利用方式」を実施しており、こちらの方式では英検は利用できず、TEAPの受験が必要になります。志望大学や学部が英検を使えるのか、使えない場合はどの外検を使うのか、しっかりと事前に確認するようにしましょう。

英検CSEスコアはどれくらいとればよい?

 多くの大学で採用されている英検ですが、実際どれくらいの級・スコアを取ればよいのでしょうか? 受験で使えるラインとなると、英検2級合格(英検CSEスコア1,980点)以上を目指すとよいでしょう。2級以上を取っておくと、日東駒専やGMARCHなどの難関大学で使うことができます。

■2024年 法政大学 英語外部試験利用入試
(社会学部・経営学部・人間環境学部・キャリアデザイン学部・スポーツ健康学部)

出願資格 英検2級以上合格
受験科目 1科目:国語もしくは数学から選択 ※数学Ⅲはなし

※出典: 法政大学

 法政大学の一部学部の外検入試では、英検2級以上に合格していると出願することができます。出願資格となっているため、英検CSEスコアは合否判定には使用されません。受験する1科目の点数によって合否判定が行われます。そのため、国語や数学が得意な受験生にとっては有利に受験できる入試となっています。

■2024年 日本大学 経済学部 A個別方式

教科 配点
※英語  100点
国語 100点
地理歴史・公民・数学から選択 100点

※外部の英語資格のスコアを換算し、特典として利用することができます。英語を受験した場合は、換算した点数と比較して高得点のほうを合否判定に使用します。

  • 英検CSEスコア1,980点以上:80点に換算
  • 英検CSEスコア2,150点以上:90点に換算
  • 英検CSEスコア2,304点以上:100点に換算

※出典: 日本大学

 日本大学経済学部のA個別方式では、英検2級以上に合格していると、英語の点数に換算することができます。英検2級の合格ラインである1,980点以上のスコアの場合、8割換算することができます。一発勝負である試験で事前に点数が確定していると、安心して他の教科の対策に時間を使うことができます。

 このように英検2級以上のスコアを所持していると、難関大学の入試を有利に進めることができます。もちろん準1級や1級に合格していればより多くの入試に出願でき、また換算される得点が高くなる場合もあります。

英語外部検定試験利用入試のメリットを紹介

 外検入試を受験戦略に組み込むことで、より合格率を上げることが可能です。積極的に利用することで大きなメリットがあります。外検入試のメリットをいくつかご紹介しますので、参考にしてください。

メリット1:事前に英語の点数が確定できる

 英検などの外検で先に高得点を取ることで、スコアによる得点換算で入試の点数を確定させることができます。点数を確定させてしまえば、残りの時間を他の科目の勉強に使うことができます。効率的に勉強ができるため、より合格が狙いやすくなります。

メリット2:早い段階から共テ・国公立2次・私立の対策ができる

 高校1年〜2年から英検などの外検の勉強を進めることは、共通テストや一般入試の対策につながります。早いタイミングから対策ができれば、より難易度の高い大学へ合格することが可能になります。ただし、私立大学専願で考えている受験生だと、一部の外検で出題されるリスニングやライティングなどの問題が、私立の一般入試では出題されない場合があります。このような不要な要素がある場合は、必要な要素を中心に点数を狙いましょう。

メリット3:早い段階で目標が明確になる

 勉強のモチベーションを保つためには、明確な目標が重要です。受験本番を目標にすると、それまでにはかなりの日数があり、どうしてもモチベーションを保ちにくい場合があります。一方で、外検は毎年複数回実施されているため、明確な目標として設定しやすくなります。上手に目標を作ることで、モチベーションを継続することができます。

メリット4:受験前に複数回挑戦できる

 外検は受験本番と異なり、年に何回も挑戦することができます。毎回同じ傾向なので対策も立てやすく、自分の弱点や点数が取れていない要素を明確にすることも可能です。そのため、英語が苦手な生徒でも点数を上げやすいという特徴があります。もちろん、受験のたびに受験料がかかってしまいますが、一度スコアが取れてしまえばその後の受験に有利になるので、ぜひ狙ってほしいものです。

英語外部検定試験利用入試を受験する上での注意点

 外検入試には、的確に利用することで多くのメリットがありますが、いくつか注意点もあります。最悪の場合、「受験しようと思った大学の外検入試に出願できない」というケースもあります。しっかりと確認するようにしてください。

使える外検・スコアを確認しよう

 前述のとおり、利用できる外検は大学や入試方式によって異なります。事前に志望大学や学部の入試情報を確認しましょう。高いスコアを獲得するためには、検定試験に向けた入念な対策が必要になります。また、大学の受験日程や入試方式も異なるため、高校1年生・2年生の早い段階から準備を進めることが、志望校合格への近道になります。

 また、スコアに関してもどれくらい必要なのかを、入試方式の検索サイトなどで確認しましょう。確認ができたら、大学のHPで他科目も含めて詳細を確認し、何月までに目標スコアを取るのか戦略や計画を練りましょう。

有効期限を確認しよう

 外検入試では、大学側で独自に有効期限を定めている場合があります。有効期限は大学によって異なるため、しっかり確認し、有効期限切れが起こらないように注意しましょう。仮に有効期限が切れてしまった場合には、もう一度受験し、スコアを取り直す必要があります。

 例としてご紹介した法政大学の有効期限の扱いについては下記のとおりです。高校1年生の2月以降に受験した外検が有効となっています。

「いずれも2022年2月以降に受験したもの(実用英語技能検定は2021年度第3回以降のもの)に限り有効とします。※出典: 法政大学

受験戦略をしっかり練ろう

 外検入試は事前にスコアを取っておくことで、「一般選抜試験で英語の得点を確定させる」「英語の一般選抜を受験しなくてもよい」ということができるため、入試本番までに英語以外の教科に時間を使えることが最大のメリットです。

 ただし、外検入試ではない通常の入試も受験する場合には、結局、英語の対策が必要になり、恩恵が少なくなるケースがあります。残りの受験日数によっては、英検の対策に時間が取られてしまい、一般入試のリーディング対策が不十分になる場合もあります。しっかりと第一志望校と併願校の受験情報を確認し、外検入試を使うのか否か、いつまでに外検のスコアを取るのかなどの戦略・計画を練りましょう。

まとめ|うまく使って受験を有利に!

 今回は外検入試についてご紹介しました。今年から外検入試を採用する大学もあるため、最新の入試情報を収集することが重要です。自分ですべて調べようとすると時間がかかってしまうので、ご家族や先生に相談してみるのもよいでしょう。特に最新の受験情報に詳しい塾・予備校の講師なら、学習計画もあわせて練ってくれるため、強い味方になるはずです。

※英検®は、公益財団法人 日本英語検定協会の登録商標です。