国際カジノ資本は日本の中間層の財布を狙っているラスベガスのような歓楽街が、横浜や大阪に出現するかもしれない――

 異様な国会になった。会期延長はTPP法案を成立させるためとされたが、そればかりではなかった。カジノ法案を無理矢理通そうというのである。

 問題山積、突っ込みどころ満載の法案である。それが衆議院の審議はわずか6時間。自民党は質問時間を持て余し、般若心経を唱えて時間を消化する仰天議員まで現れた。審議なんてクソくらえ、数の力で強引に通す、という国会運営である。たかがカジノ。なぜ与党は、品性が疑われる愚挙に走るのか。

「今回が最後のチャンス。通せなかったら、国際カジノ資本に見限られます」

 ロビー活動の一端を担ったコンサルタントは言う。カジノ資本の力はそれほど大きいものなのか。うかがい知ることはできないが、法案が成立して喜ぶのは日本進出が可能になる国際カジノ資本である。

読売、産経でさえ難色
不自然な与党の強引さ

 日本は「最後の処女地」だという。

「候補地も運営する外資も、概ねすでに決まっている」という情報通もいるほどだ。

 観光客が増える。地域が賑わう。関連産業が儲かる。税収も増える。つまりカネ・カネ・カネだ。安倍首相は成長戦略の目玉の一つに据えた。儲かることはいいことだ、という発想である。なんという貧困な精神か。

 政府・与党に同調する論説が目立つ読売新聞でさえ社説で「人の不幸を踏み台にするのか」と書いた。

「そもそもカジノは、賭博客の負け分が収益の柱になる。ギャンブルにはまった人や外国人観光客らの散財に期待し、他人の不幸や不運を踏み台にするような成長戦略は極めて不健全である」と指摘している。

 親会社のフジサンケイグループがカジノビジネスに名乗りを挙げている産経新聞は、「カジノ解禁にまつわる懸念に向き合わないまま、スタートラインに立つ法律を押し通すなら国民の不信は拡大するだろう」と書いた。

 首相も与党も財界も、こんな当たり前のことに気づかないのか。