ベイカレント 爆速成長の罠#5Photo:PIXTA

国内発のコンサルティングファーム、ベイカレントは急速な台頭を遂げてきた。足元で人員数は5000人を突破し、コンサルビッグ4超えも果たした。だが、あまりに急激な成長は組織や社内風土のひずみも顕在化させつつある。爆速成長の陰でベイカレントがはまった罠(わな)とは。長期連載『コンサル大解剖』内の特集『ベイカレント 爆速成長の罠』では、複数回にわたり、ベールに包まれてきたベイカレントの実像を浮き彫りにする。第5回となる本稿では、ダイヤモンド編集部の取材で新たに判明した、北風大輔社長の経歴に絡む不可解な点について、複数の関係者への取材を基に明らかにしていく。また、同社の元首脳が記載していた学歴に変遷があったことも分かった。(ダイヤモンド編集部 名古屋和希、山本 輝)

ベイカレント社長に新疑問が浮上
BCGは正社員としては在籍なし!?

「報道によってクライアントが離れる恐れもある」。ダイヤモンド編集部が5月下旬に配信した記事「ベイカレント新社長の経歴に漂う“謎”とは?外資系IT、外資戦略系…“超華麗キャリア”の実相」を受け、あるベイカレントOBはそう漏らす。

 同記事では、国内発の爆速成長ファームのベイカレントの新社長に5月下旬に就任した北風大輔氏の経歴に絡んだ不可解な点を指摘した。北風氏は、かつて自社のホームページや外部メディアのインタビューなどで、経歴にボストン コンサルティング グループ(BCG)や外資系IT企業などと明記していたが、一部企業では在籍記録の確認ができていない。

 前回記事でも触れたが、北風氏がかつて経歴にBCGと記載していたことについて、ダイヤモンド編集部がベイカレントに問い合わせたところ、「北風が当社入社前にBCGボストンオフィスに業務委託で勤務したことがあることを、当時の広報担当者が誤った認識で経歴の一つとして記載していたが、経歴としてはふさわしくないということで速やかに削除している」と回答した。正社員としてはBCGに籍を置いていなかったことを認めたものともいえる。

 ただし、ベイカレントはBCG在籍歴以外の北風氏の経歴に関わる不可解な点については、「当社ホームページや新聞などで公表した以上の経歴詳細については公表を控えている」と回答を避けた。冒頭のOBのコメントは、ベイカレントが沈黙を貫いていることによるビジネスへの影響を懸念したものだ。

 そして、今回、北風氏の経歴にさらなる不可解な点が存在することがダイヤンモンド編集部の取材で判明した。ベイカレント関係者の証言などを基に、北風氏のベイカレント入社前の経歴を巡る疑問点を明らかにしていく。また、社内でも謎に包まれていた、ベイカレントでの社歴もたどる。北風氏はどのようにトップに上り詰めたのか。

 さらに、北風氏だけでなく、同社の元首脳も公表していた学歴に変遷があったことも新たに判明した。次ページでその中身について明らかにする。