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なぜ、日本のサービス業はもうからないのか

サービス業の高収益化に向けて官民がなすべきこと

2013年10月16日
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サービス産業、サービス事業における収益性の向上が、日本経済上の課題とされて久しい。GDPの7割を占めると言われるこの分野の高収益化は、わが国の成長戦略において重要な位置を占める。しかし、日本ではチップという習慣もなければ、スマイルは0円である。「サービスする=無料にする」という考え方が定着している社会文化にあって、サービスの価値を定量化し、さらにそれに適正価格を設定することは一筋縄ではいかない。高収益化の前提となるサービスの価値形成のあり方から、サービス産業・事業を活性化する具体的なアイデアまで、平将明経済産業大臣政務官(取材当時)に話を聞いた。(聞き手/DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー元編集長・岩崎卓也)

平 将明(たいら・まさあき)自民党 副幹事長 情報調査局長。早稲田大学法学部卒業。サラリーマン生活を経て、平成3年、家業である大田青果市場の仲卸『山邦』に入社。8年には3代目として社長就任。 15年東京青年会議所理事長、17年経済産業省産業構造審議会基本政策部会民間委員などを務めた後、平成17年9月、第44回衆議院選挙において東京都第4選挙区にて初当選。以降、自民党経済産業部会長、衆議院経済産業委員会理事、シャドウキャビネット(影の内閣)行政改革・公務員制度改革担当副大臣などを歴任。 平成24年12月から25年9月まで経済産業大臣政務官を務める。

──日本のサービス産業の現状をどう見ていますか。

 ご存じの通り、サービス産業はわが国のGDP(国内総生産)の約7割を占めています。雇用の面から見ても、同じく約7割がサービス産業従事者です。しかも、GDP、雇用共に、その割合は拡大傾向にあります。

 しかし、かねてから指摘されているように、製造業などと比べると、サービス産業の生産性は必ずしも高くはありません。小売業、飲食業、宿泊業などの業種で見ると、米国の水準の5割から6割程度にとどまっているというデータもあります。

 生産性が低いということは、給与の伸びも限定されているということです。小売、飲食、医療、福祉といった業種は、従業員数が多い一方で、平均給与は相対的に低く、それ故に離職率も高い状況が続いています。

──サービス産業の生産性が低い理由についてはどうお考えですか。

 これまで、日本のサービス産業はグローバルマーケットを相手にしてこなかったために、生産性向上の努力をせずに済んできた。それが理由として挙げられるでしょう。また、サービス産業の担い手には中小企業や個人事業主が多いために、生産性向上を実現する体力がないという側面もあります。

──日本はすでに人口減少の局面に入っていますが、一方で、個人金融資産残高は増加しています。これは、人々がお金を使わなくなっていることを意味します。内需拡大のためには、サービス産業の発展が必須であるとしばしば指摘されていますね。

 おっしゃる通りです。現代の日本では、生活に必要な商品はすでに広く行き渡っているので、「もの」が内需をけん引するのは難しいでしょう。新しい需要が喚起されるのは、サービス分野においてであると私も考えています。

 しかし、現在の日本のサービスには、「クオリティは高いが、特徴がない」という傾向が全般に見られます。サービスが日本全国で均一化されており、差別化されていないということですが、それもサービス産業が伸び悩んでいる理由の一つであると考えられます。いかに、他の業種や他の土地にない特徴を打ち出して差別化するか。言い換えるなら、いかに独自の付加価値を生み出すか。それがサービス産業全般における最大の課題であるといっていいでしょう。

──国内の人口が減っていくことを考えれば、外需を呼び込むことも必要です。

 それもご指摘の通りです。サービス産業に限りませんが、国内のマーケットだけを対象にした産業は次第に衰退していかざるを得ません。あらゆる分野で、日本の定住人口が減っても継続可能なグローバル戦略を考えなければなりません。

 サービス産業は、これまで世界をターゲットとしてこなかった分、伸び代は大きいと考えられます。世界に認めてもらえるような価値をいかに創出していくか。それもまた、サービス産業の大きな課題といえます。

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