【第45回】 2010年03月10日
デフレ時代の外食産業は本当に値段の安さが重要なのか
デフレ進行中ということで、外食や小売り、アパレルなどの産業においては「こんなに安い店が人気」という語られ方をすることが多い。かつてユニクロはその代表格であった。最近の外食産業では餃子の王将などが典型であろう。
ただし、王将の客単価は決して低いわけではない。同社の直近の発表資料によると、2010年1月は843円となっている。2009年12月までの9ヵ月間の累積においても平均は842円であり、一昨年から比べると平均で10円ほど客単価は下がっているものの、「安い」という言葉で連想されるような数百円レベルの客単価ではないのである。
「デフレ時代は値下げが王道」は本当か?
昨年12月に牛丼チェーンのすき家が並盛を50円値下げして280円としたときには、かつてデフレ一色だった時期に吉野家が実施した値下げ、あるいは、マクドナルドが実施したハンバーガー58円という値下げを連想させた。
こうした一連の値下げをみると、「デフレ期は値段を下げないと売れない」というのが定石のように思われる。しかし、王将の客単価の推移はその概念にやや疑念を抱かせる。王将では客数が前年同月比20%もアップしている状況が続いているのである。マクドナルドも、2009年後半はやや減少傾向ではあったものの、この2年間ほどの間の客単価は上昇基調にあった。そして、最近立て続けに出している新商品も値段は安くはない。
すき家、マクドナルド、王将のウェブサイトを訪問すると、トップページの作りも大いに異なる。すき家では、牛丼新価格280円と大きくアピールしてくるのに対し、マクドナルド、王将では値段のアピールはない。すき家は、昨年12月の牛丼の値下げ以降、既存店客数は10%以上アップしているものの、同時に客単価も10%以上減少し、売上高にしてみるとほぼ前年同期比トントンという状況である。11月までの売上高推移が厳しかったことに比べると、それなりの効果があったと思われるが、この先もこの状況が維持していけるかが勝負どころとなろう。
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著者プロフィール
- 保田隆明
(ワクワク経済研究所LLP代表)
1974年生まれ。早稲田大学商学部卒業。リーマン・ブラザーズ証券、UBS証券にてM&A、資金調達アドバイザリーに従事後、SNSサイト運営会社の起業、ネットエイジキャピタル執行役員を経て現職。著書に『M&A時代 企業価値のホントの考え方』(ダイヤモンド社)、『図解 株式市場とM&A』(翔泳社)など多数。現在は、経済・金融分野をわかりやすく解説する活動をテレビなど各種メディアで展開中。保田氏ブログ
この連載について
仕事と両立しながら大学院に通い始めた保田隆明が、大学院で学ぶからこそ見えてきた新しい視点で、世の中の「経済・金融ニュース」をわかりやすく解説する。
経済・金融のグローバル化に伴い、企業を取り巻く環境は複雑化。ビジネスパーソンにとっても、経営戦略とファインスに関する知識は不可欠になっています。本書では、資金調達やM&Aなど、経営戦略とファイナンスの関係を基本から徹底解説します。 2100円(税込)
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