J2リーグのJ1昇格争いがヒートアップしている。
第44節を終えた現在、昇格を争っているのは5チーム。セレッソ大阪(勝点91・以下同)、仙台(89)、甲府(85)、湘南(84)、鳥栖(79)だ。昨年までは入れ替え戦があったが、今季からは3位までがJ1に自動的に昇格する。残り試合は7。一歩抜け出しているC大阪と仙台には若干余裕があるが、最後のひと枠である3位争いが熾烈だ。甲府、湘南、鳥栖の3チームは、絶対に取りこぼしはできないという緊張感の中での試合が続く。
他の13チームは昇格の望みが消えたわけだが、その中にかつての名門・東京ヴェルディが入っている。リーグ戦中盤までは昇格が十分狙える位置にいたものの後半戦に入ると失速。この第44節に岐阜と引き分けたことで昇格の可能性はゼロになった。
東京ヴェルディにとって深刻なのは低迷する成績だけではない。経営状態が厳しく、クラブが存続できるかどうかの瀬戸際にあるのだ。
読売グループの撤退により
スポンサー募集という苦渋の決断
クラブを創設し名門に育てた読売新聞社が経営から撤退したのは1998年。そのあとを同じ読売グループの日本テレビが引き継いだが、経営環境の悪化から今季限りで撤退することになった。経営する会社がなくなればクラブは消滅せざるを得ない。なんとか存続させる方法はないかとクラブのOBたちが模索し、出した結論が持ち株会社によるクラブ経営だった。
この7月、「東京ヴェルディホールディングス株式会社」(VHD)を設立。日本テレビから株式の大半を譲り受け、スポンサーを募ってその資金で経営をしていく方針が立てられた。だが、いきなり難問にぶつかった。
持ち株会社によるクラブ経営はJリーグでは初めてのケースである。リーグサイドとしては安易に認めて失敗させるわけにはいかず、厳しい条件をつけた。VHDが出した来年度の事業計画のうち、スポンサー料収入として計上した5億4千万円を11月16日までに確定(契約成立)すること、それができなければJリーグから脱退させるという条件をつきつけたのである。
新聞報道によれば9月中旬時点で契約の目途が立っているのは2億4千万円分。約3億円が足りない状況らしい。リーグサイドもスポンサー探しには協力しているというが、この大不況下、J1昇格を果たせなかったばかりかJ2の中位に低迷、観客動員も1試合平均5400人弱(J2の18クラブ中9位)のクラブのスポンサーになろうという会社は簡単には見つからないだろう。