丸亀製麺のトリドール、UDON旋風で海外比率約4割!「型破りな世界進出」が大成功しているワケPhoto:Diamond

「海外でうどん店に行列ができているらしい」――こんな話をニュース番組で目にした方も多いのではないでしょうか。うどんチェーン「丸亀製麺」を展開するトリドールホールディングスが、順調に海外事業を伸ばしています。外食業界は海外展開が難しいとされる中、好調の背景には同社の「常識にとらわれない戦略」がありました。その成功の秘密と課題に迫ります。(グロービス講師/グロービスAI経営教育研究所 マネージャ 松村真美子)

丸亀製麺のトリドール
海外事業比率は約4割

 海外で人気の日本食といえば、まず頭に浮かぶのはすしやラーメンでしょう。そんな中、新たな選択肢として頭角を現しているのが“UDON(うどん)”です。

 製麺所式セルフうどんチェーンの丸亀製麺(海外では「Marugame Udon」)は、世界各国に1100店舗以上を展開しています。その中で最も売上高が高い店舗はどこか、ご存じでしょうか?

 正解は、ハワイのワイキキ店です(2024年2月時点のプレスリリースでの情報。23年8月は月商約1.3億円)。

 2011年に海外第1号店としてオープンしたワイキキ店は、観光客にもローカル客にも人気で、連日のように30分以上の行列ができる繁盛店となっています。日本よりも販売単価が高く、天ぷらのようなサイドメニューがよく売れることもあって、日本の店舗の約10倍以上の年間売り上げを記録したこともあるといいます。

 丸亀製麺を展開するトリドールホールディングス(以下、トリドール)は、約20の飲食ブランドを持ち、世界28の国と地域にトータル2000店舗以上を展開するグローバル企業です。中でも特筆すべきは、その海外売上比率の高さ。グループ全体に占める海外事業比率は、40%近くに及びます。

トリドールHDの全体及び海外事業の収益推移各社の有価証券報告書等より筆者作成 拡大画像表示

 一般的に外食業界は、海外進出が難しい業界だといわれます。食の好みは現地の文化や嗜好に依存し、また、安全や品質を管理するためのサプライチェーンを各地で構築する必要があるためです。実際、FOOD&LIFE COMPANIES(スシロー)やくら寿司などの大手チェーンであっても、海外での売り上げ比率は20%台にとどまっています。

丸亀製麵各社の有価証券報告書等より筆者作成
拡大画像表示

 なぜトリドールはこんなにも海外で受け入れられているのでしょうか?