
90歳の現役医師は「たいていのことはほったらかしでいい」と語る。高齢者は病気があって当然であり、生活に支障がなければ気にしない姿勢が心身の健康につながるという。悲観的にならず、日々を生きる「ほったらかし精神」の中身とは。※本稿は、折茂肇『90歳現役医師が実践する ほったらかし快老術』(朝日新聞出版)の一部を抜粋・編集したものです。
100歳の人たちが語った
長生きするための秘訣は?
100年、つまり1世紀生きるとは大変なことだ。誰にでもできることではない。超高齢社会の中でも「超エリート」というべき存在だろう。100歳まで生きるためには、本人の努力はもちろん、長寿に関わる遺伝的な素因にも恵まれているのだろうと考える。
私自身も90歳となったが、あと10年生きられるかと聞かれたら、自信を持って「もちろん」とは言えないかもしれない。
実際に長生きした人は、自分が長生きできた理由をどのように考えているのだろうか。100歳の高齢者に、その「長寿の秘訣」を聞いた調査がある(グラフ)。

少し前の調査にはなるが、その自己判断による長寿の秘訣として挙げられた項目のなかで、男女とも最も多かったのが「物事にこだわらず、くよくよしない」ということだった。56.8%、実に半数以上の人がこう答えていた。なんと、これは私が最も得意とすることだ!
私はこれまでの人生で細かいことは気にせず、なるようになるという考えで自由に生きることをモットーとしてきたが、そういう姿勢が長生きにはいちばん良いのだ。俄然、100歳人生が近づいてきた気がする!
ちなみに、2位は「暴飲暴食をしない」、3位は「幸せな家庭に恵まれている」という結果であった。何事もほどほどにすること、他者との関わりを持つことも、大切であることがうかがえる。