住宅も電力インフラと捉え
ゼロエネルギーハウスの普及も推進

 太陽電池モジュールメーカーの枠にとどまらず、太陽光発電システム全体を提供できるインリーならではの強みを生かし、同社では現在、地方自治体と連携しながら、地域発電のモデルとなるような発電所を自社で建設する準備も進めているという。

 「地方に小規模コミュニティがエネルギーを自給自足できる発電所をつくっていくというわれわれの活動は、消費者が再生可能エネルギーを自ら選択するという社会を構築する取り組みであるともいえると思います。そのモデルを身をもって示すことで、循環型社会を目指そうという仲間を一人でも多く増やしていきたいと考えています」

 われわれ消費者一人ひとりが、電力会社から買っている電力を、再生可能エネルギーによる自家発電にスイッチしていけば、環境省の掲げる2030年再生可能エネルギー比率33%というゴールへ着実に近づいてゆく。電力会社が独占している総額20兆円に迫る年間売上高は、そのまま再生可能エネルギーが狙うべきマーケットとイコールなのだ。

 こうした地域密着型の小規模発電に並ぶ、インリージャパンのもう一つの柱は「住宅」だ。エネルギー自給を実現する住宅を全国に広げるために、同社では全国の工務店ネットワークやガス器具メーカーと連携し、太陽光発電やハイブリッド型の給湯器などを住宅設備に組み込むことで実質的なエネルギー自給を実現する「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)」対応2x6住宅パッケージの普及に取り組んでいるのだ。

持続可能な循環型社会づくりのために<br />まずは「電力の地産地消」の実現を「再生可能エネルギーの普及を通じて持続可能な循環型社会をつくりたい」と抱負を語る山本社長
 

「日本の新築住宅市場は、わずか5%を大手ハウスメーカーが占め、残りの95%を地場の工務店などが占めているという特殊なマーケットです。これまでは工務店間に横の繋がりがなかったためにスケールメリットが出せず調達コストは高く生産性も低い、結果エンドユーザーは高い買い物をせざるを得ない、工務店も利益率が高い訳でもなく経営は楽ではない、という構図でした。われわれはこの新築住宅市場の改革に参画しており、エンドユーザーが安くて良い家を買い、地場の工務店も経営を安定させることができる仕組みを全国に広める活動をしています。今や住宅も電力インフラの一部であり、全ての住宅が屋根にモジュールを設置すればエネルギーの自給自足に近づきます。そのためには、理想論を掲げるのではなく現実的に経済性と結びついた仕組みを作ることが最も近道と考えています」

 単なるサプライヤーとして需要を待つのではなく最終的に人や社会に価値を提供するアプリケーションベースの需要を掘り起こさなければ、市場動向に翻弄される「売り子」に終わる。「本質的な価値」=「経済性を伴った再生可能エネルギーの普及」を通じて持続可能な循環型社会の土台を作り、しっかり次世代に引き継いでいく。インリージャパンの今後が注目される。