社員の力を十分に引き出せていない——そんな悩みを抱える経営者は多いはずだ。大きな阻害要因となっているのが、右肩上がりの時代から続く従来型の人事評価制度である。これに対して、あしたのチームが提案するのが「行動変容につながる人事評価制度」。評価と報酬の連動により社員のやる気を刺激し、日常的な行動を変えていく。それが、業績向上にもつながる。

高橋恭介
あしたのチーム
代表取締役社長

 近年、人事評価制度・報酬制度を見直す企業が増えている。重要な要因の一つが「脱・年功給」だ。従来型の賃金カーブを維持することに、多くの経営者は疑問を持つようになった。

「右肩上がりの時代は、売り上げが順調に拡大する中で社員の仕事は自動的に増えていき、受け身の社員でも忙しい状態で、全体の生産性も高いレベルにありました。ところが、成長が頭打ちになると、受け身の社員の仕事は減っていき、自律的、能動的な人材との生産性格差が広がったのです」と、あしたのチームの高橋恭介社長は語る。

人事評価と報酬が別々
頑張っても給料は同じ

 外部環境という前提が変わった以上、人事評価制度も変わらざるを得ない。日本企業の経営者はそんな意識を強めている。だが、人事評価制度を業績向上につなげる戦略を持っている経営者は多いとはいえない。

「日本企業の課題として、ホワイトカラーの生産性の低さがあります。ただ、有効な打ち手を見いだせない企業が多い。大きな原因の一つは、人事評価と報酬が切り離されていることです。頑張っても頑張らなくても、給料が大して変わらないのです」

 多くの企業は、本人が設定した目標の達成度をボーナスなどに反映する仕組みを持っている。しかし、目標が曖昧、または達成の基準が不明確というケースが非常に多い。その結果、全体のバランスを考慮した人事評価が行われ、「大して変わらない」状態に落ち着く。頑張っても月収がわずかに増えるだけでは、社員の行動を大きく変えることはできない。

 こうした人事評価制度の課題に正面から向き合ってきたのが、あしたのチームだ。同社はクラウドの人事評価システムなど、人事評価に特化したサービスを数人~数百人規模の企業向けに提供している。

「制度構築と人事評価システム、制度運用支援の三つを一気通貫で提供しています(図1)。これらを別々のベンダーに発注する企業が多いのですが、そうしたやり方では重複業務が発生して非効率です。三つの領域はそれぞれ重要ですが、私たちが特に注力しているのは効果創出につながる運用フェーズ。評価シートの改善をはじめ、新制度の定着に向けてさまざまなサポート(運用おせっかい)を行っています」と高橋社長は言う。