直感を生み出す好奇心、素直さが
伸びる経営者の条件

 企業のリーダーには、実現したいことがあって起業した経営者、サラリーマンとして働いてきて抜てきされた経営者、親が経営者で後継者として社長になるケースがある。

 成功している経営者は、いずれの場合も最終的に組織やチームが向かうべきビジョンを持っているのが特徴だ。経営者の役割は、明確なビジョンを持ち、決断をすること。その決断の根拠となっているのは「直感」だという。

  「私はいつもリーダーの決断について意識して聞くようにしているのですが、ほとんどの方は、自分の決断の理由について“直感”と答えます。その直感は、当てずっぽうとは違い、考えに考えた末に、ふと浮かび上がって来る決意のこと。頭の中にビッグデータが構築されていて、そこからアイデアや決断が脈絡なく現れる。だからリーダーの大切な仕事とは、常に考え続けること。考え続けた人にしか、直感は降りてこないのだと思います」

 考え続けるには、好奇心が必要だ。

  「とにかく新しいことが知りたい。そこで自分の仕事に置き換えられることを常に探しています。必要になるのが、素直さです。一流といわれる経営者の方々は、他人の言葉に素直に耳を傾け、いったん受け入れ、そこから判断する。伸び悩む経営者の方々は、“それは違う”と、最初から耳を傾けようとしません。伸びてゆく経営者は、どんなに高齢になっても、相手が若い人であろうと素直に耳を傾け、メモを取られたりしています。最初から反論や言い訳をする人で、成功した経営者を見たことがありません」

カリスマ性ではなく
こだわりを持つことが大事

 トップダウン型リーダーシップが機能しなくなった背景には、大量生産された商品や画一的なサービスが通用しなくなったことがある。消費者の価値観やニーズが多様化し、インターネットの発展で、かつて知りようがなかった小さなニーズが、ダイレクトに企業に伝わるようになったのだ。今は“次はこの商品が当たる”という予測は困難で“好きな人が発信した情報が受ける”という時代。こだわりを持った人の情報がこだわりを持つ人に届くという構図が主流になっている。特に起業の現場ではそれが顕著だ。

  「つまりトップの予測など当てにならず、メンバー個々が好きなことを発信していく中で、ビジネスの成功が生まれる。結局、自社の商品やサービスがどれほど好きかということが重要なのです。決断はするが、大切なのは“好きであること”。そういう意味で、経営者にカリスマ性は必要なく、アーティストに近くなっているかもしれません」

 藤沢代表自身、20代後半に日本初の投資信託評価会社を起業し、経営者となった経験がある。現在も、2020年の東京オリンピック・パラリンピックを見据えた文部科学省の「スポーツ・文化・ワールド・フォーラム」のリーダーとして活躍する。「自らリーダーとして心掛けているのは、自分がやればできることはやらない。現場に口出しはせず、常に自分がチャレンジできる仕事を見つけることです。リーダーとは答えのない答えを探すのが仕事。決して楽ではないですが、それをずっと考え続けています」

「最初から反論や言い訳をする人で、
成功した経営者を見たことがありません」
藤沢代表

 

ダイヤモンド経営者倶楽部とは

ダイヤモンド経営者倶楽部は日本経済の活性化に貢献する趣旨の下、次世代産業の中核を担う中堅・ベンチャー企業経営者の方々の多面的支援を目的として設立。ダイヤモンド社の80周年プロジェクトとして1993年に創設された。現在の会員数は約500人。成長意欲の高い魅力的な経営者が集う“場”を提供する日本有数の経営者倶楽部として高い評価を得ている。