「中古住宅を買ってリノベーション」が最近の住宅トレンド。それも「物件探し」から始めるのではなく、いきなり「ショールーム巡り」からスタートする人が増えている。リノベ派が数多く集まる渋谷、そして以前からの住宅系ショールーム集積地である新宿を歩いてみた。

見学者が続々集まる
築50年のマンション

リノべる。東京桜丘ショールームは、2011年に築45年、専有面積68㎡の2LDKマンションをワンルームにリノベーションしたもの。改修費は1200万円(うちキッチンは250万円)。土間とフローリングの床を組み合わせたユニークなレイアウト、ブラインドで仕切ったコンパクトなトイレや浴室の他、玄関ドアにカーテンを掛け断熱効果を高めた工夫なども見られる

  「個人所有のリノベーション済みマンションを借り、予約制のショールームにしています。土日・祝日は、見学の方々がひっきりなしという状況です」(リノべる広報担当・田尻有賀里氏)

 そう言って案内されたのは、渋谷駅から徒歩9分にある、築50年のマンション。いかにも古びた建物外観と、インテリア雑誌のグラビアから抜け出したようなしゃれた室内空間の落差が大きい。

 リノベーション事業を幅広く手掛けるリノべるは、趣向を凝らしたセミナーや「宝石物件バスツアー」と銘打った見学会を全国で展開してきた。中でも非常に人気があったのがこの渋谷区桜丘町の物件で、持ち主の転勤に伴い、借り上げてショールーム化したという。

 「壁はコンクリートの躯体に白いペンキを塗ってあり、天井は元のコンクリートそのままです。つり下げ型のライトなど、リノベーション費用を安くあげる工夫が随所に見られる一方、こだわりは特注のアイランドキッチンにあって、改修費用の2割強がキッチン代金となっています」(田尻氏)

 見学者は、リノベ後の室内を眺めるだけでなく、改修費用の配分、スペースを使い分ける工夫に強く関心を示すという。

 新築のマンションは、きれいに仕上げられた完成形を買うわけだが、中古のリノベーションは「自分で好きに造り直す」ところに妙味がある。どこに金をかけるか、あるいはかけないか、「自分らしさ」をどう盛り込むかは自由自在。だからこそ、最初にイマジネーションを喚起してくれる、こうしたショールームが参考になる。

青山通りに9月にオープンしたコスモスイニシア「&Renobvation」(左)と、DIY派に人気のR不動産「toolbox」(右)