人件費は所与ではなく、
コントロールするもの
ヒトにかかわる課題は、企業によってさまざまだ。
たとえば、「売上高が低下したのに、人件費総額はほとんど変わっていない」という企業もあれば、「特定の年齢層に等級や人員が偏っている」あるいは「ハイパフォーマーとそうでない社員のあいだの給与に差がなく、前者の優秀な人材が退職してしまうリスクがある」というケースもある。AR Basic 10を活用することで、こうした課題を短期間で見える化できる。
「お客様から人事や経理に関するデータをお預かりし、そのデータを分析することで客観的な数値を使って現状を提示します。お客様の規模や業種業態は問いません。データ受領後1~2週間で、分析結果をお見せしています」と松田本部長。関係者へのインタビューなどは行わず、インプットする対象を人事・経理データに絞ることでリーズナブルな価格を実現した。
AR Basic 10では10項目を診断する(図2)。人件費や人員構成などに関する、いわば人事の“健康診断”である。「なんとなく気になっていた人事課題が、数値として明確に出てきますので、どこに問題があるのか、どれが深刻な問題か、が数量的にはっきり把握できます」と高柳氏。
10項目はトータルな診断に欠かせない網羅的なものだ。そのなかには、たとえば将来の人件費・人員構成のシミュレーションもある。3年後の人員構成と人件費のグラフを見れば、経営者は「これではまずい」と考えるかもしれない。実際、そういったケースも多いそうだ。
数値的な把握ができれば、改革や改善への機運を高めることもできるだろう。高柳氏は「実施すべきことの優先順位の検討、あるいは人事改革のためのツールにしてもらえれば」と考えている。
また、松田本部長は次のように指摘する。
「従来、日本企業では『人件費は所与のもの』と考える傾向が強かったように思います。最近は、『人件費はコントロールすべきもの』ととらえる企業が増えています」
市場における競争がますます激しくなるなかで、それは当然のことだろう。ヒトという最も重要な経営資源を、いかにコントロールするか。企業の根幹にかかわるテーマだけに、しっかりとした事実認識をベースに議論する必要がありそうだ。
人事の定量分析・客観的診断の内容と経営判断への活かし方について具体的な事例を交えて解説します。
・日時:4月20日(水)14:00~16:30
・場所:航空会館5F(東京都港区西新橋1-18-1)
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