カルビーは平成28年度「女性が輝く先進企業表彰」の内閣総理大臣表彰を受賞した。トップの強力なリーダーシップの下、女性管理職比率を高め、“ライフ・ワーク・バランス”の実現を通して、ダイバーシティ推進の日本一企業を目指している。

 カルビーが女性活躍推進のため社内改革を本格的にスタートしたのは2010年。同年4月にダイバーシティ委員会が設立され、「女性の活躍なしに、カルビーの成長なし」という大号令のもと、ダイバーシティ推進の取り組みが始まった。

 その歴史は、松本晃代表取締役会長兼CEOが15年前、前職(ジョンソン・エンド・ジョンソン社長)のとき、米国人の上司に言われたことに遡る。

「あるグローバルなミーティングで、“日本の人口の半分は女性なのに、女性を全く活用していない。世界中で女性を活用していないのは日本とパキスタンくらいだ。パキスタンは宗教上の理由があるが、日本は何の理由もない。なぜやらないんだ!”と指摘されたのです。言われてみればその通りだと思い、以来ムキになって取り組み始めました」(松本会長)

カルビー
松本 晃 代表取締役会長兼CEO

 現在、カルビーの女性従業員比率は47.5%、女性が従業員の約半数を占める。ダイバーシティの推進が始まってから、同社の女性管理職比率は大幅にアップした。10年4月の5.9%から16年4月には22.1%に。女性の執行役員も5人を数え、女性工場長も誕生、15年2月には女性初の上級執行役員も誕生した。

 松本会長はこう語る。「マネジメント層が男性ばかりでは、片翼しか使わずに飛行しているようなものです。優秀な人は男女を問わず優秀です。マネジメント層が男性や有名大学出身者のみで偏っていては、カルビーが成長できるわけがないのです」。

内閣総理大臣表彰を受ける松本会長

 執行役員の中には、小学生2人の子を持つワーキングマザーもいる。同社では女性の積極的な登用をダイバーシティの取り組みの柱と考えており、20年には女性管理職比率を30%にすることを目標としている。