BTMを支える
グローバルネットワーク

高橋一夫
流通科学大学サービス産業学部教授
 総務省地域再生マネジャーとして、鬼怒川温泉の地域ブランド再生のほか、佐賀県唐津市、岡山県倉敷市などでも観光まちづくり、地域ブランドの育成などに携わる。研究テーマは、地域活性化や観光マーケティングなど。

 BTMは、1980年代後半に米国で誕生したビジネスモデルであり、日本においては外資系企業からのニーズでスタートしたが、現在ではいくつもの国内旅行会社がBTM事業に参入している。高橋教授によれば、日本のBTM各社は、海外の大手BTM会社と国際提携を行うことで、各種のメリットを手に入れているという。たとえばシステム開発を含めたラーニング・アライアンス、提携会社が担当する外資系日本支社の取り扱いができるポジショニング・アライアンス。

「なかでも大きいのがサプライヤー・アライアンス。つまり、これまで国内旅行会社では獲得できなかった割引率が、提携によって実現できるようになっています。どちらかといえば、国内旅行会社はレジャー・トラベルに強く、観光地ではない地域では魅力的な割引レートを獲得できなかった。世界各地に多くの窓口を持つ海外のBTM会社と提携することで、ビジネスに特化した地域での割引が可能になっているのです」

 これは、すでに欧米のBTM会社それぞれが世界中に張り巡らせているネットワークを、提携する日本のBTM会社も利用できるということであり、BTMを導入する日本企業にとって、日本国内を窓口にしながら世界標準のビジネスサービスを受けられることを意味する。

危機管理にも
効果を発揮

 BTM導入のメリットには、出張時におけるリスク管理もある。航空券や宿泊地を含めた出張フロー全体がデータ化されているため、社員の所在地がたちどころに把握できる。またBTM各社は24時間体制でのサポートシステムを取っているところが多く、海外での窓口数も豊富で、有事の際にはグローバルレベルで迅速に対応できる。

 また、出張業務を一元的に管理することができるため、現状をフィードバックして、さらなるコスト削減を実現するようなコンサルティングが行える。1回導入すればそれで終わりではなく、日々進化し続けていくシステムなのだ。

 こうした数々のメリットを持つBTMだが、欧米に比べて日本企業での認知度は低く、ここ数年でようやく本格的な導入が始まったところである。

「日本企業にはインハウスの旅行会社を子会社としている場合が多く、雇用の関係もあって出張業務をアウトソーシングしがたい面があります。しかしBTMの導入は出張のボリュームにかかわらず多くのメリットがあり、海外進出を目指す企業にとって、もはや不可欠のシステム。今後は経営の判断として、導入を検討することが重要になってくると思います」

※「ビジネストラベルマネジメント」連合広告は、2011年3月10日以前の取材に基づく情報です。