大人数の会議やプレゼンに必須の道具であるプロジェクターだが、「投映するまでに時間がかかる」「いざというときにランプの寿命が切れて映せなくなってしまった」「ファンの音がうるさすぎて話に集中できない」といった話を聞いたことがないだろうか。しかし最近は、そうした問題を最先端テクノロジーで抜本的に解決した画期的なものも登場している。会議の生産性を上げるための“道具”をそろえるなら、Web会議システムやモバイル端末だけでなく、プロジェクター選びにも気を配りたい。

会議やプレゼンにありがちな“イライラ”
プロジェクターが原因の一つ!?

「会議が多い」「会議の時間が長すぎる」――。日本のホワイトカラーの生産性が欧米などに比べて著しく低いことはよく知られるが、根源の一つとしてやり玉に挙げられるのが会議の非効率性だ。経営者もそのことは痛感しており、最近は会議の回数を極力減らし、1回せいぜい30分から1時間といった“時短”に取り組む企業が増えている。

 “時短”が進めば、限られた時間の中でいかに密度の濃い話し合いができるかということが重要となる。忙しい役員たちに貴重な時間を割いて集まってもらったのに、事前準備が不十分で、会議がなかなか始まらないなどというのは論外だ。準備を任された総務担当者などは、数時間前からWeb会議システムやプロジェクターなどのセッティングを行い、参加者がそろったらすぐに会議が始められるよう万全を尽くしていることだろう。

 ところが、どんなに入念な準備を行っても、「プロジェクターがなかなか点灯せず、『いつまで待たせるんだ!』と参加者たちから怒鳴られた」「説明の途中でプロジェクターのランプが切れてしまい、急いで交換に走ったが貴重な会議の時間を15分も無駄にしてしまった」といった失敗が後を絶たないようである。投映中のプロジェクターが鳴らすファンの音がうるさく、「話に集中できない」と不満を漏らす参加者もいる。あまり気に掛ける人は少ないようだが、じつはプロジェクターは会議やプレゼン参加者の“イライラ”を誘発し、生産性を下げる大きな要因のひとつになっているようだ。

会議の生産性を上げるなら
プロジェクター選びにもこだわりたい

 そもそも、スイッチを入れてから投映されるまでの時間が長い、投映中にランプが切れてしまうというのは、大部分のプロジェクターが光源に水銀ランプを使用していることが大きな原因である。

 水銀ランプは、温度を上げて投映に必要な明るさを得るまでに約70秒を要する。しかもいったん消すと、温度が下がるまで再びスイッチを入れることができない。点けるのも消すのも数十秒掛かってしまう。やむをえず、会議中はプロジェクターを点けっぱなしにしている会社も多いようだが、電力消費の無駄が生じるだけでなく、熱くなりすぎないように始終ファンが回っている状態になるので、音に過敏な参加者たちはつい“イライラ”を募らせてしまうのだ。

 また、一般的な水銀ランプの寿命は約5000時間と意外に短い。それを知らずにランプ交換を怠ったせいで、重要な会議の途中で投映できなくなり、無駄な待ち時間を参加者に強いるという大失態に結び付くことも珍しくないようだ。

 水銀ランプは劣化も早い。短期間で明るさが失われ、表示にムラが生じやすいのも難点だ。しかも、一般的なプロジェクターの多くは3LCDと呼ばれる液晶表示装置を採用しており、液晶の劣化による色ムラや変色も起こりやすい。暗く、見にくい投映画像は、参加者の集中力を削ぎ、会議の生産性をますます下げることになりかねない。

 そう考えると、プロジェクター選びも会議の生産性を上げるための重要なポイントの一つであるということがわかる。会議の生産性を上げる“道具”としては、Web会議システムやタブレット、スマートフォンなどのモバイル端末を思い浮かべることが多いと思うが、プロジェクター選びにも気を配りたいものだ。