スイッチを入れてから最短5秒で投映
本誌が注目するプロジェクターとは?

 そこで本誌が数ある製品の中から注目したのが、カシオのプロジェクターである。

 多くの読者は、時計や電子辞書などのメーカーとして認識しているかもしれないが、じつはカシオはプロジェクターも開発しており、その完成度は想像以上に高い。特に注目したいのは、水銀ランプの代わりに、2010年に世界に先駆けて開発した「レーザー&LEDハイブリッド光源」を採用している点だ。

 レーザー&LEDハイブリッド光源は、文字どおり、高輝度の青色レーザーと赤色LEDを組み合わせた同社独自の光源である。その最大の特徴は、一定温度になるまで明るさが得られない水銀ランプとは異なり、まるでテレビをつけるようにスイッチを入れるとすぐに投映できる点だ。

 プロジェクターを消した後も、ランプの温度が下がるのを待つ必要がないので、すぐに再点灯できる。カシオによると、最短5秒でのオン・オフが可能だという。

 これなら、投映されるまでの待ち時間で参加者を“イライラ”させることがなくなり、プロジェクターを点けっぱなしにすることによる電気の無駄も解消できる。また、水銀ランプの熱を冷ますにはパワーがいるのでファンの音がするが、こちらは水銀ランプほど熱くはならないのでファンの音は静か。たとえ点けっぱなしにしても、参加者を音でイラつかせることもないだろう。実際に使ってみると、非常に音の静かな環境の中で会議に集中することができた。

 さらにカシオのプロジェクターは、表示装置にDLPチップと呼ばれる高性能半導体を使用している。これは一般的な液晶表示装置(3LCD)に比べて時間経過による色ムラや変色が少なく、長時間使用しても安定した画質を保ってくれるのが特徴だ。カシオはそれをエントリーモデルにも惜しげもなく搭載。実用本位にとことんこだわる同社の矜持が感じられる。

TCOを考えた
賢い選択をしたい

 とはいえ、プロジェクターを入れ替えるとなると、やはり気になるのは値段だ。カシオのものには経費一括でいける10万円以下のモデルもある。ただ、同社の担当者によると「市場販売価格は他社製品よりもやや割高であることが多い」という。これだけの技術を投入しているからだと納得はいくが、それよりも、TCO(導入から管理・維持にかかわる総コスト)を考えると、カシオのプロジェクターは安上がりだと言えそうである。なぜなら、レーザー&LEDハイブリッド光源を採用したカシオのプロジェクターは、水銀ランプを使用する他社のプロジェクターに比べて電力消費が少ない。同社のテストによると、消費電力が約45%削減された例もあるそうだ。

 しかもレーザー&LEDハイブリッド光源の寿命は、一般的な水銀ランプの約4倍に当たる約2万時間と長寿命だ。これなら交換費用が大幅に削減できるし、交換の手間も減らせる。何より、投映中にランプが切れて会議が中断するといったトラブルが少なくなるのはありがたいはずだ。

 そもそも水銀ランプを使用しないということは、環境にもやさしい。CSR(企業の社会的責任)を果たすうえでも、賢明な選択だと言えそうである。

 また、カシオのプロジェクターは、埃による輝度低下を軽減する「防塵構造」を採用しているものもあり、埃の多い場所でも長時間にわたって明るく、安定した表示が可能。そのため、意外に埃の多い学校の教室などの教育現場でも活用されているという。

 じつは恥ずかしながら、記者も今回取材をするまで「カシオがプロジェクターを作っている」という事実を知らなかった者の1人である。だが、知れば知るほど、なぜカシオのプロジェクターがもっと注目されないのかと不思議に思えてきた。一般にプロジェクターは、ブランド力や販売店の紹介などに基づいて選定されることが多いようだが、実用本位で選ぶなら、カシオのプロジェクターを選びたい。

カシオのプロジェクター導入事例のご紹介
http://casio.jp/business/case/projector/