各種メディアや調査で「住みたいまち」の上位にランクインする北九州市。子育てしやすいまちとしての評価も高く、女性が働きやすい街でもある。アクセスも良く、東京との2拠点生活も可能だ。最近はまちのにぎわい創出にも力を入れ、暮らしやすさを全国に発信している。実際に北九州市へのUターンを決めたビジネスパーソンを訪ねる連載の、2回目をお届けする。
夏水組
代表取締役 坂田夏水氏
2016年11月~移住。
4人家族。若松区に、「マテリアル中川町」を開店(写真)。すでに東京・代官山にはインテリアマテリアルストア「Decor Tokyo」を展開、女性客を中心に好評を得ている。「若松区での開店の準備には住民の方々がたくさん手伝ってくださいました。人も温かくとにかく住みやすい。東京や海外にいる友人たちに若松に引越して一緒に住もうと誘っているんです」。
夏水組 http://www.natsumikumi.com/
北九州市の若戸大橋のたもとにある若松区中川町。古い民家が密集し、空き家も多くなっているという。今ここで、古い建物の再生を図るリノベーションが始まっている。2016年12月にオープンした「マテリアル中川町」もその一つ。東京・代官山にあるインテリアマテリアルストア(Decor Tokyo)の2号店で、築70年の民家がおしゃれな空間に生まれ変わった。
新しい働き方に 対応できる都市
代表の坂田夏水氏は北九州市八幡西区に中学1年までいた。
その後東京・杉並区に在住していたが、16年11月に北九州市若松区に拠点を移した。「理由は二つあって、一つ目は子育て。2人目の子どもを身ごもったとき、自然豊かな土地で子育てをしたいと考えました。二つ目はビジネス。商品が増えてストックする場所と人材が必要になり、西日本で物流の拠点を探していたのです」。
夫も同市の八幡東区の出身で、夫婦でなじみがある北九州市へのUターンとなった。だが東京にも店があるため、実質は2拠点生活。平日は東京で働き、金曜日の夜に若松区に帰宅。週末は若松で家族一緒に過ごし、平日に東京と若松を行き来している。「東京はどこに行くにも渋滞に巻き込まれ、ストレスがたまりますが、ここでは車で15分も走れば海にも山にも行ける。待機児童ゼロで子育てもしやすく、子どもたちは伸び伸びと育っています。魚や野菜も新鮮で、物価も安い」と生活環境の良さを指摘する。
若松区は高齢者が多いまちだが、地域の祭りなどに参加することで、すぐに地域になじんだ。まちの規模が小さいため、不動産の有効活用を手伝いながらまちづくりを実践できる楽しみもある。北九州市のバックアップもあり、ビジネス環境は予想外に整っていた。
もう一つの収穫は、敷地の広い自宅を購入できたこと。若松区はかつて石炭の積み出し港で豪商の家が多く、移住を機に洞海湾を見下ろせる広大な“お屋敷”を「手頃な価格」(坂田氏)で購入、リノベーションを楽しみながら暮らしている。
「物流が大きく変化し、ネットでテレビ会議もできる。新幹線の駅も近く、空港もある。ビジネス上、東京にいる必要はあまりなくなっている。Iターンを考える方も、新しい働き方に対応できる都市として、北九州市はとてもお勧めです」と語る。