一方、ボディやシャーシなどのプラットフォーム、エンジンなどのパワートレーンも安全性と走行性、快適性を高次元で融合させるために、巨額の投資をしてゼロから新設計しました。

安全を最優先にする
DNAは変わらない

2月下旬に都内で新型90シリーズを発表した木村社長。写真はフラッグシップセダンのS90

木村 そして、ボルボが最も重視する「安全性」についていえば、新型90シリーズには世界初のテクノロジーが幾つも盛り込まれており、着実な進化を遂げています。例えば、交差点での右折時に対向車との衝突の危険を検知すると自動ブレーキが作動する「インターセクション・サポート」、車が道路の外に飛び出すと瞬時にシートベルトを巻き上げて乗員をしっかりと固定して衝撃に備える「ランオフロード・プロテクション」などです。

 ただし、これらの新技術を搭載したのは、世界初になることが目的ではありません。ボルボには、交通事故が起こると現場に急行する独自の事故調査隊がいます。車と乗員に何が起こったか、原因は何かを徹底的に調べます。そして、そのデータはボルボ本社の「セーフティセンター」に集めて分析、あらゆる事故を再現・検証しています。そうしたプロセスから人の命を守るために必要な技術を独自に開発し、市販車に搭載しているのです。

 ボルボは1959年に世界で初めて3点式シートベルトを開発、多くの人命を救ってきましたが、そのDNAは途切れることなく受け継がれています。

 私たちは、2020年までに新しいボルボ車に乗車中の交通事故による死者・重傷者をゼロにするという「ビジョン2020」を掲げています。新型90シリーズは、そのビジョン実現に向けた次世代車の第1弾でもあるのです。