企画書づくりが半分、
練習が残り半分

 プレゼンの達人というと、スティーブ・ジョブズ氏を思い出す人が多いでしょう。かっこいいですよね。時には椅子に肘をかけながらリラックスして話していました。実は、それも計算された演出だったのです。椅子に肘をかけるのも含めて、事前にものすごく練習していたそうです。

 ジョブズ氏でさえ、そうなのです。みなさんはどのくらいプレゼンの練習をしますか? 企画書づくりに100%力を注いでしまって、練習はそれほどでもという方、結構いると思います。それは、日本人にありがちなパターンです。クルマの例と同じで、どんなに素敵なクルマでも売る人と売れない人がいるように、素敵な企画書ができたとしても決定打にはなりません。

 企画書づくりはプレゼンの仕事の50%でしかなく、成功するかどうかは残りの半分、本番での伝え方にかかっています。ですから、相手にしっかり伝えるための練習にも十分な時間を費やすべきです。

 僕はコピーライターという仕事柄、プレゼンの機会が多いのですが、必ず事前にちゃんと練習しています。スタッフをクライアントに見立て、何度も。みんなだんだん飽きてきて「まだやるんですか」感が漂いますが、そんなの気にしません(笑)。納得いくまでシミュレーションします。

 なかには、持ち前のトークの才能でねじ込んでいく人もいます。でもそれは、センスのある人だけができること。センスのない僕は、「練習」と「準備」をすることで、プレゼンを乗り越えてきました。例えば、クライアントをよく知る営業担当者などにヒアリングし、想定問答集を作っておく。本番で大抵10%くらいしか役に立ちませんが、相手のことを考えたプレゼンをするにはやっぱり準備が大切なんです。

 人は、伝え方によってYES/NOの判断がグラグラ揺れます。それを高い確率でYESに導くのが伝え方の技術です。僕が本で紹介している「伝え方の技術」はプレゼンでも活用できます。