――物理的な輸送サービスそのものだけでなく、情報システムなどの周辺サービスも提供しているのですね。

梅野 UPSは、毎年10億ドル(約1,130億円)をテクノロジーに投資しています。出荷ツール一つとっても、先ほどご紹介した、出荷量の多いお客様向けの「UPS Worldship」のほか、本社と地方支社など、複数のロケーションからの出荷業務を管理できる「UPS CampusShip」、Webベースで、手軽に出荷業務を処理できる「UPS Internet Shipping」と、お客様のニーズに応じて、幅広いツールをご用意しています。

 こうしたお客様が直接目に触れるテクノロジーのほか、配送ルート最適化を支援するシステムやドローンでの宅配実験など、バックエンドでの業務効率を高めるテクノロジーにも積極的な投資を行い、総合的なサービス品質の向上に取り組んでいます。

――あらゆる側面から顧客を支援できる体制を整えているのですね。UPSというと、一般的に、外資系のグローバル企業というイメージから、顧客も大企業ばかりという印象を持ってしまっていました。

梅野 確かに当社は、世界で40万人以上を雇用するグローバル企業です。しかし、先ほども申し上げたとおり、中小企業のお客様こそ、当社のグローバルネットワークや包括的なソリューション、業務効率を高めるITツールを最大限に活用し、事業の成長につなげていただくことが可能だと思っています。

――最後に、今後の中小企業の海外展開についての展望をお聞かせください。

梅野 日本を含む世界各国で推進されている自由貿易協定は、中小企業の輸出拡大を確実に後押しするものです。

 また先日、WTO(世界貿易機関)により、TFA(貿易円滑化協定)が発効されました。これは、加盟国の通関手続きを簡素化し、輸出の促進を促すもので、世界の貿易コストが14.3%削減されるとWTOは試算しています。これも、中小企業に恩恵をもたらす施策といえます。

 UPSは、こうした制度を活用して海外での事業成長に取り組む日本の中小企業を、物流面から総合的にサポートいたします。