イノベーションを生み出すリンク

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行政、NPO、企業などのマルチセクターによる協働を推進してイノベーションを起こし、社会課題を解決することをミッションとしている日本財団は、このプロジェクトにおいて、単なる情報提供にとどまらず、被災地の各自治体、団体のニーズや制度をきめ細かく集約し、日本財団が企業を個別に訪問して判断材料を提供しつつ、派遣プログラムの調整を行った。
そこまで細やかな調整にこだわるのは、異なるセクター同士をただつなぐのではなく、有機的な結び付きをつくるため。日本財団はこのプロジェクトだけでなく多くの場面で、各セクター間の結節点となり、ソーシャルイノベーションのインキュベーター的役割を果たそうとしている。
東日本大震災の復興支援として始まった「WORK FOR 東北」は「WORK FOR にっぽん」と名前を変えた後、事業としては今年3月に終了したが、民間企業の人材を必要とするソーシャル領域のニーズは依然として大きく、「社会貢献と同時に自社の人材育成を」と考える企業も少なくない。そうしたニーズに応えて、ソーシャル業界と民間企業の協業プロジェクトをコーディネートするNPOも登場している。
企業がソーシャル領域に貢献することは、一方的な「企業の社会貢献」ではない。双方にイノベーションをもたらす、生産的なリンクなのだ。そのリンクはいま、ますます強く、太くなりつつある。