INTERVIEW
2015年までに売り上げ目標30億元
品質とブランド力でシェア拡大を図る

 ──中国事業を強化するに当たり最大のハードルは?

 競合が多いことです。照明メーカーは5000社とも1万社ともいわれるなか、どう勝ち抜くかが課題です。とはいえ、トップ企業でさえシェアは数パーセントにすぎません。また、LEDで新たに参入するメーカーはパッケージを使って光らせることができるものの、照明器具を使ってどう空間をつくるのかというソフトのノウハウに乏しいことも多いと思います。当社には、パッケージから照明器具に至るまでのハード技術と、それらを使いこなすソフト技術があります。両者の融合が、たとえば「Feu」になります。照明の最終目的は、いかに快適でエコな空間を演出できるかにあり、他社にない強みを生かして戦っていきます。

パナソニック ライティング社 社長 パナソニック電工 代表取締役専務 照明事業本部長
松蔭邦彰

──政府系プロジェクトでLEDダウンライトを受注した経緯は?

 政府の入札に参加し、20項目以上の項目で審査され、性能、品質、価格などを総合的に評価されました。価格だけが重視されていないところに、政府の品質への意識がうかがえます。今後は道路灯やトンネル灯も入札のカテゴリに入る見込みです。そこでも合格して普及に弾みをつけていきたいと思っています。

 製品の信頼度を高めるために、LED照明の規格づくりに参画することも重要です。たとえば韓国では国を挙げて規格化を進め、メーカーの中国攻略を後押ししています。日本でも経済産業省を中心としたオールジャパンの支援体制に期待したいところです。

──住宅照明へのLEDの普及はまだ先のようですね。

 まずはLED付きのシーリングライトから、消費者にLEDのよさを伝えていきます。LEDランプの普及スタートは来年になりそうです。現在は政府のLED化推進政策に合わせた企画開発を進めています。

 日本国内には白熱ランプの口金が3億個あるといわれています。単純に人口比で考えれば、中国の口金は30億個以上ある計算です。電球の置き換えで莫大な需要が見込まれますが、この争奪戦は相当厳しくなるでしょう。

広州国際照明展覧会では直管形LEDランプ搭載ベースライトを展示。今後、オフィスなどで導入を目指す

 価格のみで勝負していては地元メーカーに太刀打ちできません。中国のニーズとパナソニックのLEDや照明ソフト技術を生かした、製品の完成度で勝負することが重要。またパッケージの調達力、現在ある製造拠点の生産能力の強化にも取り組みます。

 LEDは従来の光源にはない、いろいろな可能性を秘めています。照明トップメーカーとして培った技術が生かせる市場です。2015年までの照明事業の売り上げ目標30億元(約375億円)を達成し、いずれは中国LED市場でトップに立ちたいと考えています。