30%の業務削減によって
女性の役割変革が進む

東京海上日動の業務改革を主導した、桑原茂雄・ビジネスプロセス改革部長

 同社の「抜本改革」は、はたしてどのような成果を上げているのだろうか。桑原茂雄・ビジネスプロセス改革部長は次のように話す。

「商品とビジネスプロセス、IT環境を三位一体で変革し、収益や生産性の向上、社員の働き方の変革において大きな成果を上げています。具体的にいうと、商品数を減らし、事務処理を合理化して業務量を削減、結果としてITの開発コストも30%下がりました。最大の目的は、1日の業務量を減らし、その空いた時間をお客様とのコミュニケーションに充てることです。変革前に比べて業務量が、社員は約30%、代理店はより大きく約50%削減することができました」

 もともと同社は、社員全体のおよそ半数(約8000人)を女性が占める会社だが、この業務量削減によって女性の役割が大きく変わった。事務を担っていたエリアコースの女性が営業に出られるようになったのだ。2008年当時、エリアコースで営業を担当していた女性社員は120人に過ぎなかったが、現在では約1700人。それに伴って、わずか8人だった女性リーダーも202人とおよそ25倍にも飛躍的に増えている。

 現在も引き続き、「なくす」「減らす」「移す」「持ち運ぶ」をキーワードに業務の合理化に取り組んでいるという。

「なくす」とは、非効率業務を削減すること。「減らす」とは過度な丁寧化を防止すること。「移す」とは、社内のオフィス業務支援策を積極的に活用すること。そして「持ち運ぶ」は、モバイルを活用して外出先で行なえる業務を増やすことだ。いずれもITを大胆に活用することで業務削減・移行を行い、合理化・社員の時間創出につなげている。