社員の外出時間が増えるとともに
「シャドーIT」問題が浮上

 一般的に、「持ち運ぶ」業務の増加で社員の外出時間が多くなってくると、ある問題が浮上してくるものだ。それは、企業が許可していないITツールを社員が仕事で使ってしまう「シャドーIT」リスクが高まることだ。

「会社としては当然セキュリティ上のリスクがあるとしてSNSについて利用を禁止していましたが、単にルールで縛るだけではなく潜在ニーズがないか営業職の社員に聞いてみると、例えば外にいる社員は『このまま直帰します』『ここがわからないから教えて』といったちょっとしたコミュニケーションをする時、オフィスにいる社員は外に出ている社員に対して『○○にコールバックしてください』といった業務連絡を入れる時に、コンシュマー用のチャットアプリを使いたいという要望が一定程度ありました。これが、業務用として使えるビジネスSNSの導入を考え始めたきっかけとなりました」

 まずは、トライアルとして数社のSNSツールを試してみたが、本採用には至らなかったという。

「チャット形式で気軽にやりとりができるSNS製品の導入は、コミュニケーションの活性化・効率化につながることが期待できると感じました。あとは大規模な導入に耐えうる機能の安定性があること、弊社の社内イントラへ影響がない仕様・設計であること、初心者でも簡単に操作できるユーザービリティを重視して製品選定を行いました。」(吉澤有希・IT企画部ビジネスプロセスデザイングループ主任)

 最終的に決めたのは、多くの人が使い慣れている「LINE」とほぼ同じインターフェースで、しかも業務用の安定性やスケーラビリティを持っているビジネス版LINE「LINE WORKS」だった。

一気に1万アカウントから開始
大規模な導入でも安心

 実際に「LINE WORKS」を導入するのはこれからだが、一気に1万アカウントからスタートする予定だという。通信やシステムの安定性に不安はないのだろうか。「その点については、コンシュマー向けLINEの基盤がベースにあるので機能の安定性について信頼を置いています。」(吉澤主任)。

 機能面で重視したことの一つは、「既読」が確認できるかどうか。

「既読」機能がないと、連絡がちゃんと伝わっているのか確認できないから、それを調べるために無駄な手間や時間がかかってしまう。