中国・大連ではなく熊本へ
柔軟で高品質なBPOを提供

 そうしたなか、ビジネスブレイン太田昭和(BBS)はコンサルティングサービス、システム開発、マネージメントサービス分野で高い評価を受けている。

 BPOは、BBSが創業以来、約50年間にわたって提供しているサービスで、経理財務、人事総務、営業支援、購買など広い範囲のBPOソリューションを提供している。

ビジネスブレイン太田昭和
グローバル・シェアード・ サービス事業部 シニアマネジャー
齋藤 務氏

 そのBBSがBPOサービス展開の新たなコンセプトとして「新BPO宣言」を掲げた。2000年前後に中国・大連にはBPOの拠点が設立され多くの企業がここに委託してきたが、近年、その品質やサービスに対する不満が高まっていた。そのため同社では、熊本に“日本品質”のBPOセンターを設立することでそれらの課題を解決できると考えたという。

 なぜ大連から熊本なのか。グローバル・シェアード・サービス事業部シニアマネージャーの齋藤務氏は「顧客が望むアウトソーシング領域が拡大した」ことを挙げる。

「大連では経費精算のような定型業務を任せたいというお客さまの要望には応えられたようですが、多くのお客さまが貴重な人材資源をコア業務に集中させる方針に転換し、これまで社員が担ってきた仕事をアウトソーシングしなければならなくなり、より広範囲で専門性の高いBPOを利用したいという要望が寄せられます。コミュニケーション能力も含めてもはや大連では対応が難しくなっている」。同時に大連の人件費が高騰し低価格という企業側のメリットも薄れている。

太田昭和(BBS)のBPOサービス拡大画像表示

 そこで同社は、「大連<熊本」を合言葉に2014年、BBSアウトソーシング熊本を設立し、BPOセンターを開設した。顧客のニーズが業務のコスト削減から競争力の強化に変化したことを受けて、ここでは定型業務を支援する通常のBPOに加え、公認会計士・社会保険労務士・行政書士も常駐し専門知識を要する業務にまで対応するコンサルティングとBPOを融合させた「High Value BPO」を提供している。

 熊本を新拠点とした理由を齋藤氏は「人材の質の高さ」と説明する。

「『High Value BPO』を提供するためには優秀な人材を採用しなければなりません。人口の多い政令指定都市の中で熊本県は事務職の有効求人倍率が低く人件費も適正であった。さらに仕事の方向性や意義を理解してもらえば、粘り強く、やるべきことをなんとしてでもやり遂げる県民性も評価しました」。

 稼働から2年後の2016年4月、熊本地震が発生した。BPOセンターの被害は軽微ではなかったが社員の協力のもと、業務をすぐに再開することができたが、一部の社員が出社困難に陥ったため「地震の教訓を生かして社員が自宅で作業をしたり、BBS本社でバックアップする体制を強化しました」。このことはBPOを活用することで、企業のリスク分散が図れることを意味する。BPOをBCP(事業継続計画)に組み込むことで、今後も発生が予測されている巨大地震に備えることができるわけだ。