脱年功給の時代には
マイナス査定も不可避

 では、あしたのチームの人事評価システムは人材育成を視野に入れつつ、具体的にどんな判断手法を用いているのか? 高橋社長はこう説明する。

「私たちの人事評価システムの特徴としては、①行動目標の自己設定、②絶対評価、③マイナス査定、④四半期設定、⑤IT(クラウド)化といった5つのポイントが挙げられます。同じ等級、職種でも個別に目標は異なるものですし、人材育成の観点からも行動目標は自分で定めるべき。大手企業の人事考課のような5段階の相対評価では、『普通』という判定に収れんしてしまいます」(高橋社長)

 一方、四半期ごとの評価については、人材育成と企業防衛という2つの観点に基づくものだという。日本の法律では、解任や給与減額を実施できるケースは限定されている。再三の改善を促したにもかかわらず雇用条件通りの職務を全うできず、本人もその事実を納得していることが大前提だ。四半期ごとの査定は、そのたびに改善を促すツールとなる。

 脱年功給の今の時代、マイナス査定も避けては通れないものだという。高橋社長いわく、「社員を将来の価値ではなく時価で評価する」という考え方だ。そして、これは高橋社長が前職に就いていた頃の苦い経験を反映してのものでもある。業績向上を踏まえて全社員の給与を一律ベースアップしたところ、高実績を達成している優秀な社員たちから不満が噴出。平等な還元を心掛けたつもりだったが、さほど貢献していない社員の給与まで引き上げるのはむしろ不平等だったのだ。

「大手コンサルティング会社は、人事評価システムを構築した時点で役割を終えます。私たちの場合、システム構築は手段にすぎず、その運用が目的です。だからこそ、クラウドサービスを提供することで、導入企業に長く寄り添っていくわけです。私たちはBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)を“おせっかい”と呼んでおり、ずっと“おせっかい”を焼き続けます。そのためにも、クラウドの管理画面を通じた情報共有が必須となるのです。」(高橋社長)

 利益が30%アップすることに直結する“おせっかい”なら、疎ましいどころか、むしろ大歓迎だろう。