「これからの時代、企業の事業戦略の立案で活躍するのは、経営企画部などではなく、知的財産部であると言っても過言ではありません」と語る正林所長。同事務所の知財コンサルティングは、時代に先駆け、すでに「ランドスケープ」提案型業務へと軸を移している。

未来を変えるイノベーションを発掘、“ランドスケープ”提案型業務に注力

移転価格税制問題の
解決に知財を使う

 知的財産に関して注目すべきもう一つの事案は、移転価格税制の問題だという。最近、グローバル企業による移転価格操作が問題になり、2014年にOECD(経済協力開発機構)が企業グループ内の国境を越えた取引について、税務当局へ年1回の報告を義務付けるなど、移転価格を適切に設定するためのルールが変更、厳格化された。

 移転価格とは国境を越える取引価格のことで、グローバル企業の多くはグループ全体の納税額を抑制するため、例えば税率の低い国のグループ企業へ商品価格を通常よりも低く設定して輸出し、恣意的に利益や所得を移すことを行う。このためOECDが移転価格の適正水準を算定する国際ルールを定め、多くの先進国では課税逃れを防ぐ移転価格税制を適用、日本でも1986年の税制改革で採用された。だが、この国際的な課税ルールは徹底されているとはいえず、それがOECDによるルール厳格化につながったのだ。

 「国境を越える取引における節税には、移転価格を利用する他に、特許権や商標権などの知的財産を移すという方法があります。不当な取引で所得が恣意的に抑えられていると判断されると、巨額な追徴課税が発生することもあり、今後は移転価格の適正化に加え、知財のロイヤルティー(特許権使用料)をどう設定していくかが重要になります。この場合、知財の知識がないことはリスクになります。当事務所では、国際取引に詳しい公認会計士と弁理士の両資格を持つスタッフが、適切な助言を行っています」と正林所長は話す。
 
 これもまた、戦略的に知的財産を使うランドスケープ提案型の事業なのである。

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正林国際特許商標事務所
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