最初の依頼から本格運用まで。総務アウトソーシングの流れ

 実際に、総務アウトソーシングを発注したいと考えたら、企業の担当者はどうすればよいのだろうか。大まかな流れは図の通りだが、詳しくは根岸さんに解説していただこう。

「総務アウトソーシング」の依頼から導入までの流れ

「依頼のきっかけは担当者の退職や派遣社員からの切り替えが多いようです。また、「業務品質が安定しない」「もっと生産性を高めたい」「業務ボリュームが増えたがリソースが足りない」などの悩みを抱えている担当者の方が、『総務アウトソーシング』『アウトソーシング』といったキーワードで検索して、当社のサイトをご覧になることも多いようです。公式サイトには、問い合わせフォームや電話番号の記載があるので、そこから最初のご依頼をいただきます。ほかには、かつて契約していた企業のご担当者が転職して、新たな職場でもアウトソーシングを検討していただけるというケースもありますね」

 問い合わせフォームや電話などで依頼を受けた後は、約20名ほどいるスーパーバイザーの中から、これまでの経験や実績から最適なスーパーバイザーが社内で選ばれ、詳しい状況を知るために企業を訪問してヒアリングを行う。

 アウトソーサーによっては営業担当がヒアリングを行なうこともあるそうだが、NOCの場合は初回のヒアリングもスーパーバイザーが行う。自身も実績豊富なスーパーバイザーである根岸さんは、その点がNOCの強みと語る。

「実務に詳しいスーパーバイザーが訪問することで、実りの多いヒアリングが可能になります。総務の場合、アウトソーシングとしてどこからどこまで業務を切り出してよいかが不明瞭なことと、コストの算出がしづらいため、NOCが業務の内容、関わっている人数や体制、今最も困っていること、改善したいと考えていることなどを詳細に聞いていき、業務フローを分解していきます」

 NOCの公式サイトには、一般的な総務の作業内容がリスト化された「総務業務チェックシート」が用意されているので、依頼した企業はヒアリングの前にこのシートにチェックを入れておくことで、業務内容とどこをアウトソーシングしたいのかを自ら確認できる。

「総務業務チェックシート」で業務の洗い出しができる。「総務業務チェックシート」で業務の洗い出しができる。

 ヒアリング以降は、追加で必要な情報があればメールなどでやり取りしながら、スーパーバイザーが提案書を作成。同時に見積もりも固めて、提案書に添えて提出する。

 その後、正式受注してからは、実際に現場に入り約1カ月半をかけて「業務分析」を行うという。「すべての業務を洗い出し、業務フローを再構築していきます。また担当者に確認しながら、最終的にどの業務をアウトソーシングするのかを決定していきます。現場のオペレーションを見せていただくことで、意外なところで業務が発生していたり、現在従事している方の残業が多かったりと、ヒアリングではわからなかった部分が見えてくることもあるので、この作業は非常に重要です」

 次の段階では、NOCのスタッフがスムーズに業務を遂行できるよう詳細な業務マニュアルを作成する。マニュアルには、いつ何をするか、こういう場合はどう対応するか、システム関連なら画面ショットを載せてどこをクリックするのかなど、かなり細かい点まで記載される。その理由を根岸さんは次のように語る。

「マニュアルがしっかりしていれば、スタッフが途中で変わったとしても業務に支障をきたすことがありません。たとえ、多少スキルに差があったとしても業務の平準化が可能になります」。マニュアルがあることで、冒頭で触れた「業務の属人化」が解消され、仕事に人がアサインされる状態になるということでもある。

 このマニュアル作成は、実際の業務に影響を及ぼさないように注意しながらアウトソーシングのテスト運用と同時に進めていくケースが多いという。「テスト運用の中で細かい見直しを行い、企業や業務によって違いはありますが、大体1~2カ月でテスト運用が完了し、そこからは本格稼働に入っていきます」

 ちなみに、総務アウトソーシングはコンペとなるケースも少なくない。「一部門の業務をアウトソースすれば、年間のコストはある程度かかってくるので、見積もりも含めてコンペで慎重に検討したいという要望はありますね」。コンペとなった場合は通常よりやや検討に時間を要するというが、依頼を受けてからアウトソーシングの本格運用までにかかる期間は、早くて2カ月程度、3~4カ月が一般的だという。