総務アウトソーシング導入の最大のメリットは「効率的な管理」

 アウトソーシングが本格稼働し始めた後も、安定運用に入るまで根岸さんたちスーパーバイザーは、担当企業に頻繁に足を運ぶ。「基本的に当初は週に1~2回訪問しますが、必要があれば毎日訪問することもあります。またメールや電話でもスタッフとコミュニケーションを取り、状況を常に確認。もし問題が生じていれば、すぐに対策を取り問題を解消するようにしています」

 無事に安定運用へ移行した後は、今度はマンスリーレポートという形で企業とコミュニケーションを取っていく。「どのような業務が何件あったのか、NOCのスタッフは毎日、日報をつけています。それをまとめて、スーパーバイザーがマンスリーレポートとして、企業の担当者に提出しています。委託された業務の件数のほか、ミスやトラブルの報告、『どこの機材が壊れました』といったその月のトピックまで、簡潔でかつお客様の欲しい情報をまとめています」

受託先企業へ毎月提出するマンスリーレポートの例。各種データや項目は企業ごとにカスタマイズされる受託先企業へ毎月提出するマンスリーレポートの例。各種データや項目は企業ごとにカスタマイズされる

 さらに、マンスリーレポートでは単なる報告だけでなく、業務の改善案なども積極的に提案しているという。

「たとえば、新しいコンテナをこういう理由で導入したらどうか、業務の一部をiPadで管理できるのではないか、など本当に細かいことです。社内からはなかなか出てこないところにも目を配れるのは、委託された業務をしっかり把握して、お客様のニーズをキャッチアップできているからだと考えています」。さまざまな改善の提案もスーパーバイザーが業務を熟知しているからで、これもNOCアウトソーシング&コンサルティングの強みと言えるだろう。

マンスリーレポート内では業務の改善提案も積極的に行われる。マンスリーレポート内では業務の改善提案も積極的に行われる。

 さて、最後に総務アウトソーシングを導入するメリットを改めて確認しておきたい。根岸さんは、最大のメリットとして「少ない人員での効率的な管理」を挙げる。

「アウトソーシングなら、実際の業務はすべてアウトソーサーが行うので、担当する社員が数名だけでもメール室、受付、会議予約システムなど、幅広い総務の仕事を管理できます。これがいちばんのメリットだと考えます。また我々は、業務のオペレーションを細かいところまで把握しています。そこで、たとえば何か新しいことを導入する際にも、あまりリスクを取らずに適切な提案を行うことが可能です。これも、アウトソーシングを導入するメリットと言えるのではないでしょうか」

 もちろん、アウトソーシング導入時の「業務分析」により業務のすべてが可視化され整理されることも企業にとっては大きなメリットだ。さらに、導入の結果、業務が効率化しコスト削減につながることもメリットとして期待できる。

 根岸さんによると、「総務アウトソーシング」は注目はされているものの「給与計算」や「経理」のアウトソーシングに比べると、導入する企業は現状ではまだ少数だという。「ただ、派遣法の変更もあって、3年、5年で直雇用を検討しなくてはならないのであれば、人的リスクを取らずに業務そのものをアウトソースしようという動きは、今後より強まっていくと考えています」