IT部門への全面的な依存を脱却し
ユーザー部門主導のIT導入が進む

――クニエがオラクルと共同で支援に取り組んだ、国内企業のグローバル展開の事例がありましたらお聞かせください。

勝俣:当社のオラクルさんとの協業に関する事例は数多くありますが、中でも好例だと思うのが先日カットオーバーした、ある精密機器メーカーでの取り組みです。この会社では、ビジネスを展開する各国をエリアごとに統括し、いわばサブ連結を行うかたちで、その地域の連結経営管理を行っています。それら各エリアの経営情報をオラクルさんの提供する経営管理プラットフォームを活用して単一のインスタンスに統合化しました。これにより、エリア間で相互に業績などの情報を参照し合えるようになっています。本社でも統一化された基準で必要な経営情報を、グローバルな視点で管理できる仕組みが整っています。

 また、ある電子部品メーカーではM&Aで自社と同規模の欧州の企業を買収しましたが、その際に連結経営管理のための仕組みとして、日本の本社と欧州の拠点の双方にオラクルの業績管理システム「Hyperion」、およびERPの「JD Edwards」を導入しました。買収会社に対してシステムで強制的に指標の統一とガバナンスを行うためです。

 このとき、より安価な欧州のIT企業を使うことを先方のCIO(最高情報責任者)が主張しました。これに対し、本社側のCFO(最高財務責任者)はシステムの導入にあわせて業務改革を実施したいと考えていたことから、BPR(Business Process Re-engineering)を含めたかたちでプロジェクトを実施、それをクニエが支援させていただきました。このようにIT部門ではなく、ユーザー部門が経営管理のガバナンスとしてプロジェクトを主導したのが、こちらの事例の特徴だと言えます。

桐生:確かに最近では、多様な業務アプリケーションを提供するクラウドサービスが数多く登場していることを背景に、そうしたかたちでコンサルティングファームの支援をベースにユーザー部門主導で、システム導入を進められるケースも増えています。

――最後に、ビジネスの海外展開に着手、なしいはその強化を図っていこうと考えている企業へのアドバイスをお願いします。

勝俣:今回はシステムの領域を中心的なテーマにお話をしてきましたが、われわれがコンサルティングサービスを展開する中で、もう1つの重要な課題であると実感しているのが人事面です。というのも、日本企業の場合、海外拠点の経営幹部として赴任されるのは、多くの場合、国内では中間管理職だった方々。もともと経理や人事などの経営全般にかかわる十分な知識をもっていない方が多いです。慣れない異文化環境の中、大変な苦労に直面し、孤独な状態に置かれているケースが少なくないのです。

 ぜひ、経営者の皆様には、そうした現状を理解し、例えばクニエのように、国内、海外の双方で日本人コンサルタントが日本品質で支援できるパートナーを活用するなどの施策を講じていただくことも重要であると考えています。

桐生:オラクルとしても、ITソリューションを提供するベンダーとしての立場から、様々な業務の自動化、省力化を推進することで、そうした方々の抱える苦労を軽減し、ひいては孤独からの解放に貢献できるよう、クニエさんのようなパートナーと二人三脚で、海外においてビジネスを展開するお客様をしっかりと支援していければと思います。

(構成/伊藤一徳、丸谷 潔 撮影/宇佐見利明)

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