コラボレーションの伝統を
洗練された形で“仕組み化”

 実は、資生堂の初代社長の福原信三氏は、薬学博士でありながら、著名な写真家でもあり、まさに感性を生かして美を追求する文化の第一人者であった。福原氏は写真家としての活動の中で、当時から外部のアーティストとのコラボレーションや、若手アーティストの企画展などの試みを続けてきた。そのため、資生堂と社外のアーティストとのコラボレーションは100年を超える歴史を持っている。若いアーティストに作品を発表する機会を与える一方で、そこから得た刺激を、製品や広告に生かしてきた。

 『LINK OF LIFE』は、この伝統をより洗練された形で“仕組み化”するものである。

 3回目となる今年は、「まわれ右脳!」と題して、感性(右脳)を刺激して、人が本来持っている美しさを引き出すアート作品を発信。資生堂の研究員が持つサイエンスと、アーティストが追求しているアートが出会うことで、「サイエンスに基づいたアート作品づくり」を実現した。

グローバル競争に勝つための“感性磨く企業文化”とは?今、資生堂がアートに取り組む意義資生堂の研究員、社員と外部アーティストたち

 資生堂は、気持ちが良かったり驚いたりといった「五感への心地よい刺激は、肌に良い影響を与える」という知見に基づく「感性美容理論」の研究に取り組んでいる。

 日常生活の中でアートにふれることで、感性が刺激されて肌が美しくなる――。つまり、『LINK OF LIFE』の活動は、いわば「感性美容アート」の発信であり、“第二のスキンケア”への挑戦でもある。

 今年から会場となった資生堂ギャラリーは、19年に設立100年を迎える。この国内で現存する中で最古と言われるギャラリーは、資生堂と社外アーティストのコラボレーションで重要な役割を果たしてきた場所であり、芸術文化活動の象徴でもある。

グローバル競争に勝つための“感性磨く企業文化”とは?今、資生堂がアートに取り組む意義資生堂の岩井恒彦副社長

 「100年先も輝き続ける企業となるために、資生堂が145年にわたって蓄積してきた文化活動にこれから注力していく」、オープニングイベントの冒頭、資生堂の岩井恒彦副社長は力強く宣言した。