AIが自ら推論することで
マーケティングも変わる
この事例で使われたのが、インテルが提供している推論システム「Saffron」である。Saffronは異なるデータソースからデータを取得し、それらを関連付けることで新たな洞察を導き出すことができる。
Saffronが得意としているのは、誰と誰のプロファイルが似ているのかを判断する相似解析だ。連想メモリー分類と呼ばれる機械学習の手法などを応用し、予めルールやパラメータを設定しなくても、AIが自ら推論してくれる。
こうした機能は、保険やヘルスケア、製造などの分野でも活用可能である。例えば、金融や保険の大手企業であれば、自社の商品やサービスのカタログ情報に加えて、顧客の契約データや最新の財務状況、生涯イベント情報など、膨大なデータを持っている。
実際に企業では、こうしたデータに基づいてマーケティング活動を展開している。そこではいくつかのパラメータによって顧客を分類し、分類ごとに最適だと判断されたアプローチを実施していくという類型的なアプローチが取られてきたはずだ。
しかし、Saffronを使えばもっとパーソナライズされたマーケティング活動を行える。例えば、数百万の顧客データベースからアクティブな数十万の顧客を抽出し、自社が提供している700以上の商品やサービスの中で、過去5年間でどれを選んだかを学習させる。そこから顧客ごとにプロファイルを設定し、最適な商品やサービスを推奨して、次のアクションを促すことができる。
Saffronが提供するのは、大まかな顧客特性ではない。個々の顧客のレベルで、個々の商品やサービスを関連付け、プロファイルの似た顧客がとった活動記録から、次のアクションを予測して、順位づけをした商品やサービスのアドバイスを生成してくれる。当然、高い予測率が実現されることになる。
これまでとはレベルの違うマーケティング活動は金融や保険のビジネスそのものを変えて行く可能性がある。