EC事業者にとって必要不可欠な宅配便。物流コストを削減でき、地球温暖化防止にも寄与できる。注目を集める新発想の宅配便について、エコ配 代表取締役社長の片地格人氏に聞いた。
自転車とカーボンオフセットで
環境負荷ゼロ
──エコ配は、どのような宅配便ですか?
片地格人 代表取締役
片地:「エコ配」とは、「エコロジー」と「エコノミー」を両立させた宅配便のこと。エリアを限定して、近距離は自転車を多用することで、環境に配慮しながら低コストで荷物を運ぶシステムです。なぜ、宅配便なのに「エコロジー」なのかといえば、2つの仕組みで環境負荷をゼロに近づけているからです。
1つめの仕組みは、配送に自転車を多用することでCO2を削減することです。2つめは、自転車だけではカバーできないバイクと自動車(軽自動車含む)で配送しているエリアの排出CO2をカーボンオフセットによりゼロにすることです。
簡単に言うと、当社の調べでは通常、荷物を移動させる輸送などで、宅配便1個につき約300グラム のCO2を排出していることになります。それが100個とすると、約30キログラムのCO2を排出することになりますが、「エコ配」に変更すれば、この30キログラム排出を削減したことになるわけです。
──荷物1個につき300グラム のCO2削減というわかりやすさが、共感を得ていきそうです。
片地:他社の宅配便から「エコ配」にしたことでCO2をどのくらい削減したかという「CO2削減証明書」も発行しています。ご利用いただいている企業から出た「エコ配」の個数を、CO2の重さに換算して、実際にどれくらいのCO2を減らすことができたかを明記したものです。
環境に配慮している意識の高さの証でもあるため、企業にとっても価値ある証明書として受け入れられています。みなさん、応接室に飾ったり、ホームページやブログ、フェイスブックなどで紹介してくださっています。
──実際に広がっていく手応えを感じていますか?
片地:「エコ配」のこうした説明を、いろいろな場所でお会いした社長様にすると、みなさんとても興味をもってくださり、翌週からほぼ100%といっていいほど「エコ配」を始めてくださいます。
先日も大手旅行会社へCO2削減証明書をお渡しするために行きましたが、社長自らが「もっと利用しよう!」と推進してくださり、1日20個程度だった荷物を2000個まで拡大することになりました。文具メーカーのCSR(企業の社会的責任)レポートには、弊社との提携が紹介されており、現在は配送自転車10台の荷台に広告を出稿してくださっています。また、大手通販事業者A社様でもご利用いただいており、現在、都内23区のうち8区でサービスを始めていますが今後、対象エリアはさらに拡大していく予定です。
「CO2削減証明書」については、現在、環境省等公的機関からのお墨付きがいただけるよう、はたらきかけをしているところです。環境分野での「エコ配」の認知が高まれば、個人、法人問わずにご利用が増えることが期待されます。