取引先や企業内の
コミュニケーションを改善
ビジネス・コミュニケーションにおけるスマートデバイスの導入効果は、情報やノウハウの共有がキーワードとなる。たとえば、クラウドサービスのサーバにすべての資料を保管しておき、いつでもアクセスできるようにしておけば、商談の進展状況に応じて必要なデータを取り出すことができ、客先でのプレゼンに持って行く資料にあれこれ悩む必要もない。
実際に、サーバ上に保管したプレゼンテーション動画をタブレットで再生させ、商談に役立てている企業もあると、まつもと氏は語る。
「極端な言い方をすれば、スマートデバイスがセールストークを代行してくれるわけです。個々の話術や知識に依存する度合いが小さくなるため、これからの営業マンに求められるスキルが再定義される可能性があるといえます」
また昨今では、TwitterやFacebookなどのソーシャルメディアを顧客とのコミュニケーションに利用する企業が増加しているが、一方で企業内においてもオープンな討論やコラボレーションを行うための社内コミュニケーションツールとして、ソーシャルメディアが利用されはじめている。その点、どこからでもアクセスでき、リアルタイムに情報のやり取りを行えるスマートデバイスはソーシャルメディアとの親和性が高く、社内コミュニケーションの活性化が期待できる。
もう一つのコスト削減効果に関しては、紙ベースで行われていた業務をスマートデバイスに移行することで「ペーパーレス化」を実現。紙代や印刷コストの圧縮が可能となる。特に会議や打ち合わせなどで恒常的に大量のコピー紙を消費する企業にとっては、紙資料を代替する存在として、スマートデバイスを導入する意義は大きい。
業務の効率化による
コスト削減が焦点に
また、業務の効率化によるコスト削減にもスマートデバイスは大きな効果をもたらす。電子メールなど社内のコミュニケーションを移動中や訪問先での待ち時間に処理することができれば、残業代の削減につながるはずだ。
導入時にはセキュリティ面での対策が最重要課題となるが、クラウドサービス・仮想化技術やリモート アクセス(遠隔地からオフィスのパソコンを操作するための技術)などを組み合わせることで、既存の業務システムに大きく手を加えることなくセキュアな利用環境を整えられるようになってきた。
「スマートデバイスが新聞やテレビなど既存の媒体の境界を埋めたり、補完するメディアになっていきます。これからは、スマートデバイスを意識した商品・サービスのプロモーション、顧客とのコミュニケーション戦略を考えていくことが重要になるといえます」(まつもと氏)
商品・サービスの付加価値、さらに企業価値を高めていくうえで必須の戦略ツールとなるはずだ。