評価基準の“見える化”で社員のモチベーションが向上

 新しい評価制度を導入して約1年半、導入後の社員たちの反応はどうだったのか。

「当初は社員たちにも、“人間力なんて評価できるのか”という疑問があったと思います。でも実際に導入してみると、評価基準が見える化されたことで“なにを頑張ったら評価され、どう給与に反映されるのか”という点が明確になり、当社にマッチした人事評価制度として素直に受け入れられました」と、清川社長は振り返る。

 従来から四半期ごとの表彰制度はあったが、報酬やキャリアパスとは連動していなかった。それが見える化されたことで、社員のモチベーションは向上した。経営理念に沿って具体的な行動目標が設定されているので、方向性にもブレがない。

 営業職の成果目標(MBO)についても全体的に数字が上がり、社員の定着率もアップした。離職者が減少したのは、3カ月ごとに上司と部下が1対1で話し合い、前向きなフィードバックと期待感を伝えるなど、コミュニケーションが取れていることも大きいという。

 その中でも、清川社長が最も手応えを感じているのは、評価者である管理職の成長だ。

「元来、人が人を評価するというのは難しいのですが、部下への課題提示や目標達成の支援などを通じて、常日頃からアンテナを立てるようになり、マネジメント能力が向上しているのを感じています。部下から“この人に評価されるなら嬉しい”と思われる上司になるためには、評価者として人間力の向上が求められるからです」

 事実、業績検討会議で提出される報告書を見ても、部下に関する現状報告の内容が、以前に比べて格段に充実しているという。

新卒採用にも好影響、離職率も低下

 もうひとつの変化は、新卒採用における好影響だ。

「最終面接で感じるのは、学生たちは明確なキャリアプランの提示を欲しがっていること。評価軸についての質問に“頑張れば昇級・昇格できる”という抽象的な言葉ではなく、成果と行動の2軸で評価するとしっかり伝えることができるのは嬉しいですね」

 その結果、2017年度の新卒社員は約60名と前年の2倍に、2018年度入社予定の新卒は110名と増大している。

 数あるコンサルティング会社から、あしたのチームを選んだのは、目標設定や制度運用のサポートが魅力的だったこともある。自社に適した行動目標を設定しても、運用によって根付かせることができなければ意味がないからだ。

 あしたのチームの運用サポートは「運用おせっかい」という名のとおり、目標添削や期日管理、中間面談のアドバイスなど、徹底的なサポートが特徴だ。

「当社も、営業部の他にCS(カスタマーサティスファクション)部を設け、顧客満足度の向上に力を入れている点が強みです。技術者を派遣したらそれで終わりではなく、マッチング後の技術者のフォローこそが重要だと私は考えており、制度を導入した後も引き続き運用をサポートしてくれる姿勢には共感を覚えています」と清川社長。

 人事評価制度の導入後、同社の業績は向上、離職率も劇的に低下した。

「もちろん、すべてが人事評価制度のおかげではありませんが、一定の成果が出ているのは確かです。むしろ、業績への貢献はこれからだと思う。今後は評価期間の見直しなど、マイナーチェンジも検討しながら、制度の浸透に力を入れていきたいと考えています」

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