大手企業のコンピューターセキュリティが破られ、情報が盗み出されるという“犯罪”が注目されるほど、セキュリティの問題は深刻さの度合いを深めている。企業として今のセキュリティの世界をどう理解し、どう対応していけばよいのだろうか。世界有数のセキュリティベンダーであるマカフィーの日本法人のトップとして、10年以上にわたってセキュリティの世界を見てきたマカフィー株式会社代表取締役会長の加藤孝博氏に話を聞いた。
加藤孝博
マカフィー
代表取締役会長
米国本社 シニア ヴァイス プレジデント
マカフィー
代表取締役会長
米国本社 シニア ヴァイス プレジデント
国内市場での売り上げの伸びが期待できない日本企業にとって、今後成長していくためのグローバル展開は待ったなしの経営課題だ。その際に考えておかなければならないのが、自社のセキュリティレベルである。マカフィー代表取締役会長の加藤孝博氏によれば「グローバルな世界で勝負するには、セキュリティを担保するのが基本要件」だという。
ごく最近でも大手企業のコンピューターシステムがウイルスに感染したというニュースが驚きをもって世間に受け止められた。金銭目的で情報を盗むのはもちろん、組織間の競争優位のために機密情報を盗んだり、重要なシステムを機能不全にしたりすることを目的としている場合もある。
「当初、自分の技術力を誇示するために、遊び半分が多かったインターネット犯罪ですが、2004年頃から目的が金銭へと変わり、今では組織化されてより高度な犯罪が増えています。企業のコンピューターシステムに不正に侵入して、ウイルスを感染させて機密情報を持ち出すといった犯罪が多発しています」(加藤氏)