郊外の一戸建てが
「負動産」になる!?

 退職金に加え、親の遺産を相続する時期とも重なり、後は家が適正な価格で売れれば、ローンを組まなくともマンションを購入することは可能です。しかし、問題は今住んでいる郊外の一戸建てが、果たして高く売れるのかという点にあります。

「家は築30年以上と古いけど、マンションと違って『土地という資産』があるのだから高く売れるはず」。そう思う人も多いかもしれません。確かに、東京23区をはじめ大阪、名古屋などの都市圏であれば、土地の資産価値は今でも高いものです。

 国土交通省が公表した2017年基準地価(「都道府県地価調査」同年7月1日時点)においても、先の3大都市圏の住宅地は4年連続で値上がりしています。その一方で郊外では下落が続き、大都市圏と地方とで土地の資産価値は二極化しています。

 むしろ現在では駅近の分譲マンションの方が、年月を経ても価値は下がりません。資産として物件を見るなら、郊外の一戸建てよりも駅近の分譲マンションの方が、価値を高く維持できるというわけです。

 つまり、利便性のみならず郊外の一戸建てが不動産ならぬ「負動産」になる前に売ってしまいたい。これがマンションへ住み替えたいというシニアたちの偽らざる気持ちというわけです。