これを受けて、グーグルの佐々木氏は、同社調査によって日本においてもインダイレクトでアドネットワーク、アドエクスチェンジ経由で広告枠買いたいという広告会社や広告主が増えている状況を紹介した。

 マイクロアドの渡辺氏は、同社が提供するRTBについて説明。これを受けて結婚情報サービス会社・オーネットの島貫氏が、広告主の立場から「新しいテクノロジーで出稿できるのは、新たな機会、手法が目の前に現れたということ。広告の出稿担当者の頭の切り替えも必要なので、現在、担当者と活用について詰めている」と言う。

 こうした新しいテクノロジーを活用した広告手法の普及状況について、ネット広告代理店セプテーニの佐藤氏は、「この1年でビジネスとして主流になりそうな手ごたえを感じ始めている」とし、今年は、広告ビジネスを地殻変動させる元年になるという考えを明らかにした。

アドネットワークと
アドエクスチェンジは共存するのか

 次に徳久氏は、RTBが基本的にオークションの仕組みを取り入れていることから、広告の媒体社が簡単に受け入れられるものなのか、心理的な抵抗感はないのかなどについて質問。

 これについて、佐々木氏は、「プレミアムな媒体社は、アドネットワーク、アドエクスチェンジの機能をフル活用することで広告在庫をフルに収益化することもできる。既存の販売方法に加え、収益化の一つの方法としてアドエクスチェンジを導入するのも効果的」などと指摘した。

 一部では、アドエクスチェンジの登場で、従来のアドネットワークはなくなっていくのでは、との見方もあるが、この点、味澤氏は、「特性が違うので、どちらがどちらかを駆逐するということはない」という見解を述べた。

 つまり、アドネットワークはオーディエンスデータがアドネットワークによって用意されているが、アドエクスチェンジは顧客自身が色々なオーディエンスデータを保有するサプライヤからデータを買い付け、自由に組み合わせることができ、あるいは、データのオプティマイズ方法もアドネットワークはアドネットワーク会社が考える入札方法、フリークエンシー、提携先などの最適化方法で設定がなされているが、アドエクスチェンジは顧客自身によりこれらを自由に設定できると説明した。

 ブランドを意識していたり、フルサービスを受けたい広告主には純広告、フルサービスは受けたいが、ある程度のギャランティーが欲しい広告主はアドネットワークと純広告、なかでもアドネットワークの比率が高くなる。一方、セルフサーブでインプレッションを広くマーケットプレイスから買いたい場合は、エクスチェンジの需要が高くなっている、というようにニーズに合わせて用途が変わってくるため、顧客のポートフォリオのなかでメディアバイイングがなされていくというわけだ。