資産のリバランスは
3年ごとが効果的

ここでは、運用商品のみで構成する、期待収益率を7%に設定した場合のポートフォリオを提案(これがベストという意味ではない)。積極的な運用が求められるため、コモディティを含め、金利が高く為替メリットのある海外債券と国内株式、海外株式でそれぞれ同じくらいの割合に分散。

 「アセットアロケーションは、基本的には収益の目標が変わらない限り、維持し続けるべきものです。そのためにも、資産配分の定期的なリバランスが必要です」

 リバランスとは、運用を継続した結果、当初設定した資産の配分比率とは異なる比率となっている状態を、当初の設定どおりに戻すこと。「たとえば株式の割合が運用の不調で小さくなっていた場合、元の割合に戻(増や)せば、株価水準が回復した場合にリターンがより大きくなると期待できます」。このようなリバランスを繰り返すことによって、長期的に目標収益の達成を目指すのだ。

 とはいえ、リバランスを行うには、売買や解約に伴う手数料が発生する。そうそう頻繁には行えないのが実情だ。これに対して小林氏は、「個人の資産のリバランスは、3年に1回で十分に効果的なことがデータで示されています」と明かす。

 半年ごとに資産の棚卸しで現状を確認し、3年ごとにリバランスを行う。さらに、期待する収益率を変える必要が生じたら、リアロケーションを検討する。この3段階を着実に実行することが、環境変化に負けない資産運用の王道といえそうだ。

複数の金融商品に投資していても、同じような性格のものばかりでは、分散投資にはならない。国内債券への投資の多さは収益率の低さにつながり、また国内株式への投資の多さは、日本経済の動きに左右されすぎる。7%の収益率を目指すのであれば、海外債券や海外株式、コモディティへ資金を動かし、上図のモデルポートフォリオに近づける必要がある。
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家計を見直して
資産配分を整える

 これから資産づくりにも力を入れるなら、「保険の見直しに代表される家計の見直しは必須です」と、小林氏はアドバイス。その好機は、保険料控除証明書が送られてくるタイミングだという。

 「会社勤めで団体扱いの保険に加入している場合、どれくらいの保険料を支払っているのか見えにくいものです。同証明書であらためてチェックして、今の自分の必要な保障を適切なコストで確保できているか検討してください」

 こうした貯蓄を増やしていきながら、アセットアロケーションを維持できるように配分していくといい。

 「目先の市場環境に一喜一憂するのではなく、運用の基本をコツコツと継続していくことが大切です」