【飛鳥ドライビングカレッジ】
少子化や若者の"車離れ"など年々厳しさを増す事業環境の中で、安易な値下げ競争に走らず、営業支援システム(SFA)の導入による営業力の徹底強化を推進。Sales Cloudによって顧客情報を即時共有して、営業部員の活動を支援。さらにマーケティングツールも導入してWebからの集客を大幅に増やした。

 特にここ数年は、SNSやスマートフォンの急速な普及とともに、顧客体験をいかに高めるかというアプローチが非常に重要になっている。こうした変化に柔軟に対応していくためには、システムへの多額の投資や人材確保が不可欠だと考えられてきた。しかし、セールスフォース・ドットコムが提供するようなクラウドベースのサービスを利用すれば、企業規模にかかわらず、常に最新のテクノロジーをリーズナブルな料金体系で利用できる。

「今後、AI(人工知能)やIoT(モノのインターネット)などの応用がさらに進むと、それを利用する企業としない企業との競争力の差はますます大きくなっていくことでしょう。そうした格差を解消しつつ、システムの管理・運用などに投入していた人的資源を顧客とのエンゲージメントを図っていくことに専念できるようになるのがクラウドの大きなメリットです」(千葉常務)

 また、「システムの導入では、どうしても目先の業務効率化や生産性向上ばかりに目が奪われがちですが、変わり続けるニーズや技術の進化にどう対応していくべきかという“先を見る目”を持っている経営者ほど、Salesforceを導入していただくケースが多いようです。日本の中堅中小企業のお客さまによる導入事例も非常に増えています」と千葉常務は語る。

【デジタルデータソリューション】
デジタル機器のデータ復旧サービスで国内シェア40%を占める同社は、復旧作業の複雑な工程で発生する部署間の業務情報の抜けや伝達ミスが月間100件程度発生していた。この問題を解決するためにセールスフォースのService Cloudを導入。同時に社内SNSのChatterで情報共有を活性化。さらに顧客専用サイトも構築し、問い合わせのWebFAQなど顧客対応を強化した。

 一例として千葉常務が挙げたのが、ハードディスクや半導体などの研磨剤、研磨フィルムなどを製造する老舗メーカーのMipox(マイポックス)だ。同社は半導体のフィルム方式エッジ研磨市場でシェア100%を誇るなどニッチトップな企業だが、そのシェアの高さやブランド力に依存した受け身の営業を行っていたため、一時営業赤字に陥った。赤字転落直後に経営をバトンタッチされた現在の経営者は、社員の意識と行動の改革を目指し、そのためのツールとしてSalesforceを導入した。

 営業や開発など各部門の担当者がSales Cloudに全ての活動データや顧客から得た情報などを入力するようにしたところ、無駄な活動や長時間コンタクトを取っていない顧客の存在、開発途中で埋もれてしまった技術などがどんどん“見える化”し、ビジネスチャンスの拡大とともに生産性が著しく向上。見事、黒字回復を達成できたという。また、写真では飛鳥ドライビングカレッジデジタルデータソリューションの2社について、事例を紹介している。共にSalesforceで成功を収めている有望中堅企業だ。